106D35

16歳の男子。2日前からの発熱と左の側腹部痛とを主訴に来院した。小児期から年に2回ほど高熱を出し、そのたびに抗菌薬治療を受けていたという。体温39.0℃。左肋骨脊柱角に叩打痛を認める。血清クレアチニン1.0mg/dL。排尿後の腹部超音波検査で残尿を認めない。左腎に水腎症と軽度の萎縮とを認める。尿培養でグラム陰性桿菌を認めた。抗菌薬投与で解熱し、症状は消失した。
引き続き行う必要がある検査で適切なのはどれか。
腎生検
逆行性尿道造影
排尿時膀胱尿道造影
ガリウムシンチグラフィ
イヌリンクリアランス試験

解答: c

106D35の解説

a 腎生検の適応はIgA腎症やネフローゼ症候群を含む糸球体腎炎や、移植腎、アミロイド腎などである。しかし本症例は腎盂腎炎を繰り返しており、腎生検の適応になるような疾患は疑われない。なお、急性腎盂腎や腎周囲膿瘍などの感染症、片腎、出血傾向のある患者などでは腎生検は禁忌である。
b 逆行性尿道造影では、尿道や膀胱の形態評価が可能である。本症例は腎盂腎炎が生じており、尿道と膀胱の形態自体には異常はないと考えられる。
c 正しい。繰り返す腎盂腎炎の原因は膀胱尿道逆流であると考えられる。その評価に最も適しているのは排尿時膀胱尿道造影である。
d ガリウムシンチグラフィは腫瘍や炎症を全身的に評価できる検査である。サルコイドーシスや悪性リンパ腫、悪性黒色腫などがそれにあたるが、本症例では抗菌薬で解熱、症状改善しているため合致しない。
e イヌリンクリアランス試験では、糸球体濾過量を計測することができる。クレアチニンクリアランスでも糸球体濾過量を推定することが可能だが、他の因子によって容易に変動するためイヌリンクリアランスの方がより正確である。しかし、臨床で頻繁に行われる検査ではない。

正答率:76%

テーマ:膀胱尿管逆流〈VUR〉に合併した水腎症の検査

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