106D28

58歳の女性。嘔吐、腹痛および下痢を主訴に来院した。今朝、自分で弁当を作って夫とピクニックへ行き、昼食の弁当とともに、道沿いで採った山菜、キノコ及び釣った魚をキャンプ場で焼いて食べた。その後、湧き水を沸かしてお茶を飲んだ。約1時間後、目の前が暗くなり、冷や汗をかいて涙が止まらなくなった。約4時間後から吐き気と腹痛とを自覚するとともに下痢が始まり、水を飲んでは嘔吐することを繰り返した。7時間後、手掌に軽度のしびれを自覚し、頭がぼーっとするようになったため受診した。同行した62歳の夫も下痢をしたという。同じ弁当を昼に勤務先で食べた娘には特に症状がなかった。体温37.2℃。脈拍52/分、整。血圧114/58mmHg。発汗を認める。瞳孔径は両側2mmである。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、腹部全体に軽度の圧痛を認める。肝・脾を触知しない。腸雑音の亢進を認める。便は下痢便で、潜血を認めない。
原因として最も考えられるのはどれか。
キノコ毒
腸炎ビブリオ
ノロウイルス
黄色ブドウ球菌
カンピロバクター

解答: a

106D28の解説

食中毒の原因を問う問題。食事から1時間程度で眼前暗黒感や冷や汗、流涙が出ており、この症状はコリン作用であることが分かる。
a 正しい。毒キノコの中にはムスカリンが含まれているものがあり、その中毒と考えらる。
b 腸炎ビブリオは海水魚に存在する。今回は魚類を摂取したエピソードがないので否定的。
c・d・e これらの感染で下痢、嘔吐は出現するがコリン作用はみられない。

正答率:82%

テーマ:キノコ毒の診断

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