106B41

98歳の女性。咳と発熱とを主訴に来院した。1週前から咳が出るようになり、2日前から発熱が出現したが、入院を嫌って自宅で我慢していた。症状が改善しないため心配して訪ねてきた家族に伴われて受診した。1人暮らしであり、最近まで日常的に畑仕事をしていたという。食欲に変化はなく食事は摂れており、全身倦怠感は訴えていない。意識は清明。身長154cm、体重38kg。体温38.5℃。脈拍96/分、整。血圧116/84mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。右前胸部と右背部でcoarse cracklesを聴取する。血液所見:赤血球377万、Hb 10.2g/dL、Ht 33%、白血球9,800、血小板23万。血液生化学所見:尿素窒素12mg/dL、クレアチニン1.2mg/dL。CRP 2.8mg/dL。胸部エックス線写真で右下肺野に浸潤影を認める。
対応として適切なのはどれか。
酸素吸入
抗菌薬の投与
モルヒネの投与
中心静脈栄養の開始
肺炎球菌ワクチンの接種

解答: b

106B41の解説

発熱、咳嗽のある高齢女性。本文最後に胸部エックス線で浸潤影とあるので肺炎であることはわかる。しかし、本人に倦怠感はなく、肺炎にしては重症さを感じない。高齢者では、肺炎でもあまり症状を訴えないのだ、というメッセージ性の強い問題。
a SpO2(room air)97%とあり、酸素吸入を必要とはしていない。
b 正しい。白血球とCRP上昇もあり細菌性肺炎が疑われるため抗菌薬で治療する。
c 疼痛を訴えてはおらず、モルヒネは必要ない。
d 食事は摂れているため中心静脈栄養は必要ない。
e 高齢者は免疫低下に伴い肺炎球菌感染症に罹患しやすくなるため、ワクチン接種が推奨される。しかし、すでに肺炎になってからでは遅すぎる。

正答率:90%

テーマ:高齢者の肺炎への対応

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