106A48

66歳の女性。1か月前からの頬部腫脹を主訴に来院した。28年前に慢性副鼻腔炎に対する手術の既往がある。歯肉部からの穿刺で粘稠な液体が吸引される。頭部単純CT冠状断像(A)と頭部MRIのT1強調冠状断像(B)とを別に示す。
診断として最も考えられるのはどれか。
上顎洞癌
歯性上顎洞炎
副鼻腔真菌症
慢性副鼻腔炎
術後性上顎嚢胞

解答: e

106A48の解説

「慢性副鼻腔炎に対する手術の既往」との記載よりCaldwell-Luc手術後の上顎嚢胞だろうと察しがつく。この術式は100年以上前から存在し、現在主流となっている内視鏡手術が登場するまでは主流であった。根本手術であるため合併症もみられ、術後性上顎嚢胞が代表的である。
a 一般的に悪性腫瘍では周囲組織への浸潤や骨破壊を認める。そのような画像所見や血性鼻漏などの症状もないため否定的。
b 名前のとおり、歯科処置後に生じることが多い。エピソードもなく、炎症による痛みも認めないため異なる。
c 副鼻腔真菌症では、CTで上顎洞内に石灰化や濃淡の変化を認めることが特徴的であるが、本症例ではそのような所見は認めない。
d いわゆる「蓄膿症」である。通常両側に起こり、CTでも鼻茸や粘膜肥厚の様子を確認できる。
e 正しい。手術の既往があり、穿刺で粘稠な液体が吸収されたことから考えやすい。

正答率:80%

テーマ:術後性上顎囊胞の診断

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