106A36

48歳の女性。1か月前からの全身倦怠感を主訴に来院した。42歳時に右乳癌の治療を受けている。乳癌はエストロゲン受容体陰性、HER2陰性であった。身長158cm、体重54kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧120/60mmHg。眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝の辺縁を触知する。血液所見:赤血球324万、Hb 9.6g/dL、Ht 34%、白血球6,700、血小板36万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン4.0g/dL、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 68U/L、ALT 80U/L。CA15-3 150U/mL(基準30以下)。腹部造影CTを別に示す。
治療として適切なのはどれか。
肝切除術
放射線治療
ホルモン療法
全身抗癌化学療法
分子標的薬(トラスツズマブ)の投与

解答: d

106A36の解説

1か月前からの全身倦怠感を主訴とする48歳女性。42歳時に右乳癌の治療を受けている。腹部造影CTでは肝内にring enhancementを伴う腫瘤性病変4つ確認でき、転移性肝癌が考えられる。CA15-3は乳癌の再発や転移有無の判定に有用なマーカーであるが、高値である。
a 多数転移しており、肝切除は不能。
b 放射線治療は無効である。
c エストロゲン受容体は陰性であるためホルモン療法は無効。
d 正しい。全身抗癌化学療法の適応となる。
e HER2は陰性であるため、分子標的薬は無効である。

正答率:86%

テーマ:転移性肝癌の治療

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