106A22

39歳の男性。同性愛者。頭痛を主訴に来院した。2週前から微熱と全身倦怠感とを自覚していた。2日前から頭重感を伴うようになった。昨日から持続的な頭痛が加わり、次第に増悪してきたため受診した。これまでの経過で嘔吐したことはないという。意識レベルはJCS I-1。体温37.6℃。脈拍 92/分、整。血圧162/70mmHg。呼吸数21/分。SpO2 96%(room air)。口腔内に白苔を認める。Kernig徴候は陽性である。血液所見:赤血球400万、Hb 13.2g/dL、Ht 41%、白血球6,200、血小板11万。免疫学所見:CRP 8.2mg/dL。HIV抗体陽性。脳脊髄液所見:外観は水様、初圧200mmH2O(基準70~170)、細胞数42/mm3(すべて単核球:基準0~2)、蛋白55mg/dL(基準15~45)、糖40mg/dL(基準50~75)。脳脊髄液の墨汁染色標本を別に示す。
診断として考えられるのはどれか。
HIV脳症
神経梅毒
結核性髄膜炎
トキソプラズマ脳炎
クリプトコックス髄膜炎

解答: e

106A22の解説

頭痛、発熱を主訴に来院した若年男性。HIV抗体陽性である。髄膜刺激症状があり髄膜炎を疑う。髄液中では単核球が優位に上昇し、糖が低下している。画像では、墨汁染色で細胞壁の外側に厚い小膜を持つ微生物が確認できる。以上 からクリプトコックス髄膜炎の診断。クリプトコッカス症(肺以外)は AIDS指標疾患であり、AIDSの診断となる。これによる免疫低下で鵞口瘡もみられている。
a HIV脳症では意識障害を呈する。本患者ではHIV感染はあるが、意識レベルは低下しておらず、否定的。
b 本患者では梅毒のリスクがあり、神経梅毒でも髄膜炎症状を呈することがある。しかし、特徴的な身体所見(Argyll Robertson瞳孔など)や梅毒血清反応が明記されておらず、積極的には選びにくい。
c 免疫低下により結核性髄膜炎を呈することがある。しかし、結核菌の証明やアデノシンデアミナーゼ活性について明記されておらず、積極的には選びにくい。
d トキソプラズマ脳症では意識障害を呈する。免疫低下によりトキソプラズマ脳症を呈することがある。しかし、意識レベルは低下しておらず、否定的。
e 正しい。上記の通り。

正答率:98%

テーマ:クリプトコックス髄膜炎の診断

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