106A21

71歳の男性。6か月前からの排尿困難と夜間頻尿とを主訴に来院した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。身長162cm、体重60kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧154/82mmHg。呼吸数14/分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。直腸指診で超鶏卵大の前立腺を触知するが、硬結を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球と白血球とを認めない。血清PSA 3.5ng/mL(基準4.0以下)。国際前立腺症状スコア22点(軽症0~7点、中等症8~19点、重症20~35点)。腹部超音波検査で推定前立腺体積58mL。尿流測定で排尿量120mL、最大尿流率3.8mL/秒、残尿量210mL。
対応として誤っているのはどれか。
α1遮断薬の投与
抗コリン薬の投与
抗男性ホルモン薬の投与
5α還元酵素阻害薬の投与
経尿道的前立腺切除術

解答: b

106A21の解説

高齢男性の排尿困難及び夜間頻尿。基礎疾患はないが、エコーからは推定前立腺体積が30ml以上で前立腺の肥大を認め、尿流測定では排尿量、尿流率が少なく残尿が多いことがわかる。推定体積や尿流測定の正常値を知らなくとも、症状から前立腺肥大症を考えるのは困難ではないだろう。
a α1遮断作用による前立腺平滑筋の弛緩で排尿困難の改善が期待できる。ただし、交感神経遮断薬となるので起立性低血圧に注意する。
b 誤り。抗コリン薬の使用により尿閉を呈する危険がある。
c テストステロンの産生を抑制するとともにテストステロンが前立腺細胞に取り込まれるのを抑制し、前立腺の増殖を阻害する。
d テストステロンに5α還元酵素が働くとジヒドロテストステロンとなり、この物質が前立腺の増殖を促進する。よって、5α還元酵素を阻害すれば増殖は抑制される。
e TUR-Pである。中期から後期で行われる。

正答率:92%

テーマ:前立腺肥大症〈BPH〉への対応

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