105I68

出生直後の新生児。呼吸不全のためNICUに入院となった。母親が妊婦健康診査を受けていなかったため、妊娠経過は不明である。3,026gで出生した。Apgarスコアは3点(1分)、4点(5分)。呼吸数72/分で非常に浅い。心拍数88/分、整。全身にチアノーゼを認める。筋緊張は低下し、自発運動に乏しく、泣き声はほとんど聞き取れない。心音と呼吸音とを右胸部でわずかに聴取する。腹部は陥凹し、肝・脾を触知しない。マスクによる酸素投与が行われたが経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉50%のため、直ちに気管挿管し、100%酸素で人工換気を行った。気管挿管後、SpO2は70%まで上昇したが、それ以上の改善は認められなかった。気管挿管後の胸部エックス線写真を別に示す。
この新生児の呼吸不全の原因はどれか。
肺炎
肺低形成
縦隔腫瘍
気腫性肺嚢胞
横隔神経麻痺

解答: b

105I68の解説

呼吸不全のためNICUに入院となった出生直後の新生児。Apgarスコアは3点(1分)、4点(5分)と新生児仮死である。胸部エックス線写真より左胸腔内に腸管ガスを認め、新生児横隔膜ヘルニアの診断となる。母親が妊婦健康診査を受けていなかったため、妊娠経過は不明であることからも、エコー等で出生前には気づけなかったのであろう。
a 肺炎による敗血症性の呼吸不全も考えられるが、臨床像や画像所見と一致しない。
b 正しい。横隔膜ヘルニアによる肺低形成が最も考えれられる。
c 画像所見より縦隔腫瘍は認められず、臨床経過からも否定的。
d 気腫性肺嚢胞では腹部の陥凹を説明できない。
e 分娩経過の記載もなく、横隔神経麻痺とは臨床像が異なる。

正答率:91%

テーマ:新生児横隔膜ヘルニアの合併症

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし