105I60

35歳の1回経産婦。妊娠40週に陣痛発来し入院した。5年前に回旋異常のため妊娠38週で2,700gの女児を帝王切開で分娩した。今回の妊娠経過は良好であった。身長158cm、体重62kg。脈拍84/分、整。血圧120/84mmHg。児は第1頭位。腟鏡診で外子宮口から少量の羊水流出を認めた。超音波検査では胎児推定体重は3,400g、胎盤は子宮底部を中心に存在し異常所見を認めなかった。入院時の内診所見で先進部の下降度SP-1cm、子宮口3cm開大。胎児心拍数陣痛図で子宮収縮は3分間隔。胎児心拍数パターンに異常を認めなかった。その後陣痛は増強し頻回となり入院後2時間には2分間隔となった。内診では子宮口は全開大し、児頭下降度はSP+2cmであった。この時点から産婦は陣痛に合わせて努責を開始した。30分経過したころ気分不快を訴えた。呼吸困難はない。意識は清明。呼吸数24/分。脈拍112/分、整。血圧80/52mmHg。顔面は蒼白。少量の性器出血を認める。再度の内診では、児頭下降度はSP-3cmである。胎児心拍数陣痛図では陣痛は微弱となり、遷延性徐脈を認める。
治療として最も適切なのはどれか。
吸引分娩
開腹手術
胎児圧出法
子宮収縮薬投与
子宮動脈塞栓術

解答: b

105I60の解説

陣痛が発来した35歳の1回経産婦である。前回は帝王切開で分娩しているも、今回経腟分娩を行うようである。分娩は問題なく経過し児頭下降度はSP+2cmであったが、努責開始後に気分不快を訴えた。内診にて児頭下降度はSP-3cmと、下降していた胎児が再度上昇している。胎児心拍数陣痛図では陣痛は微弱となり、遷延性徐脈を認めている。脈拍112/分、整、血圧80/52mmHg、顔面は蒼白とショック症状であり、子宮破裂を考える。
a 児頭下降度はSP-3cmであり、吸引分娩は禁忌である。
b 正しい。破裂後は輸液と輸血を行い全身状態を維持しつつ、緊急開腹手術を行う。
c・d 破裂による出血をきたしており、母体に負荷をかけるべきではない。
e 子宮動脈塞栓術にて母体の全身状態を安定させるのも重要ではあるが、徐脈を認めている胎児に対しての対応もするべきであろう。

正答率:83%

テーマ:子宮破裂の治療

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