105I57

20歳の女性。全身浮腫を主訴に来院した。3日前から顔面と下腿とに浮腫が出現し、急速に増悪してきた。現在までに体重が6kg増加した。身長156cm、体重60kg。体温35.6℃。脈拍72/分、整。血圧110/76mmHg。全身浮腫が高度である。尿所見:蛋白4+、糖(-)、潜血(-)。血液生化学所見:総蛋白5.0g/dL、アルブミン2.2g/dL、総コレステロール320mg/dL、尿素窒素40mg/dL、クレアチニン1.8mg/dL、尿酸8.0mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 100mEq/L。腎生検のPAS染色標本を別に示す。
この患者の尿所見として考えにくいのはどれか。
尿比重1.030
尿Na濃度8mEq/L
尿沈渣で脂肪円柱
尿蛋白1.6g/日
尿Na分別排泄率〈fractional Na excretion〉0.2%

解答: d

105I57の解説

若年女性の急性増悪した体重増加と浮腫である。蛋白4+、アルブミン2.2g/dlであることからネフローゼ症候群の診断基準を満たしている。腎生検のPAS染色標本にて糸球体病変を認めないことからは微小変化型ネフローゼ症候群と判断できる。選択肢は腎不全の知識について問われているが、本症例では強い浮腫により腎前性腎不全であると考えられる。
a・b・e 腎前性腎不全の定義を満たしており、尿所見として考えられる。 
c ネフローゼ症候群など高度蛋白尿を呈する疾患では非特異的に尿沈渣に脂肪円柱をみる。
d 誤り。尿蛋白は3.5g/day以上でネフローゼ症候群の診断となる。

正答率:54%

テーマ:微小変化型ネフローゼ症候群〈MC〉の検査所見

フォーラムへ投稿

関連トピック