105H31

次の文を読み、31、32の問いに答えよ。
64歳の男性。労作時の息切れを主訴に来院した。
現病歴:半年前から立ち仕事で疲れやすくなったが、年のせいだと思い医療機関を受診していなかった。1か月前から階段を昇るときの息切れが強くなり、徐々に増悪してきた。
既往歴:50歳台のとき健康診断で肥満と高血圧とを指摘されたが、医療機関は受診していない。
生活歴:自営業。喫煙は20本/日を44年間。飲酒は日本酒換算で2合半/日を30年間。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:身長159cm、体重78kg、腹囲94cm。体温36.8℃。呼吸数26/分。脈拍104/分、不整。血圧168/92 mmHg。頸静脈の怒張を認める。両側下肺野にcoarse cracklesを聴取する。両側下腿の浮腫を認める。
検査所見:血液所見:赤血球406万、Hb 13.7g/dL、Ht 41%、白血球8,700、血小板26万。血液生化学所見:血糖108 mg/dL、HbA1c 5.5%(基準4.3~5.8)、総蛋白6.4 g/dL、アルブミン3.6 g/dL、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、LDLコレステロール126mg/dL(基準65~139)、HDLコレステロール38mg/dL、トリグリセリド286mg/dL、AST 48U/L、ALT 46U/L、LD 346U/L(基準176~353)、ALP 358U/L(基準115~359)、γ-GTP 76U/L(基準8~50)、Na 136mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 101mEq/L。CRP 0.3mg/dL。心電図で心房細動を認める。胸部エックス線写真で心胸郭比64%。
次に必要な検査はどれか。
心エコー検査
呼吸機能検査
24時間血圧測定
心筋シンチグラフィ
経口ブドウ糖負荷試験

解答: a

105H31の解説

労作時息切れを主訴とする64歳男性。両下肺野でcoarse cracklesを聴取し、頸静脈の怒張や下腿浮腫も認め両心不全をきたしている。胸部エックス線写真では心拡大を認めている。
a 正しい。心不全の原因検索のため心エコーを行う。壁運動異常を含めた心機能や弁膜症を評価する。
b 息切れを呈しており施行できない。心不全の状態が改善した後に検討する。
c 24時間血圧測定は1日の血圧変動を観察するものである。今行うべき検査ではない。
d 心筋シンチグラフィは虚血性心疾患の評価に用いる。心不全の原因が虚血性心疾患の可能性はあるが、心不全を呈している現時点で優先して行うべき検査ではない。
e 経口ブドウ糖負荷試験では糖尿病の診断に用いるが、血糖108mg/dL、HbA1c 5.5%であるため糖尿病は否定的である。

正答率:95%

テーマ:【長文1/2】心不全の診断に有用な検査

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