105H21

33歳の男性。1か月前に交通事故で搬入された。同日、腹部大動脈損傷の診断で血管置換術を受け、術後に両下肢の完全麻痺が出現した。両下肢は現在も完全麻痺のままで、肛門周囲の感覚脱失を認める。
現時点の対応として適切なのはどれか。
脊髄の手術を勧める。
歩行を治療目標として示す。
社会復帰のための退院を勧める。
患者の反応を見つつ麻痺の予後を説明する。
体幹に関する運動療法メニューを提示する。

解答: d

105H21の解説

腹部大動脈血管置換術後に脊髄障害が出現しており、前脊髄動脈症候群と考えられる。診断はつかずとも、必修的な無難な対応で正答可能。
a 血管障害に起因するものであり、脊髄手術は無効。
b 両下肢が完全麻痺であり、歩行は見込めない。無謀な目標である。
c 病態をしっかりコントロールでき、退院可能と担当医師が判断して初めて退院を勧める流れとなる。社会復帰させたいから何でもかんでも退院させればよいというわけではない。
d 正しい。bで示したように、今後の自立歩行は見込めない。肛門周囲の感覚脱失もあり、排便機能にも影響が出そうだ。QOLは交通事故前に比べ、かなり低くなってしまい、現実を直視するのは患者にとって辛いことになるだろう。患者の反応をみつつ、丁寧に予後を説明したい。
e リハビリテーションは必須であるが、まずは病状や予後の説明からだろう。「現時点の対応」としては不適切。

正答率:100%

テーマ:両下肢の完全麻痺を認める患者への対応

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