105D51

67歳の男性。人間ドックで血中PSA値の異常を指摘され来院した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。身長167cm、体重65kg。体温36.2℃。呼吸数14/分。脈拍72/分、整。血圧148/80mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。直腸指診でクルミ大の前立腺を触知するが、硬結を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球と白血球とを認めない。血液所見:赤血球480万、Hb 15.0g/dL、Ht 45%、白血球6,600、血小板23万。PSA 6.8ng/mL(基準4.0以下)。前立腺生検で高分化型の前立腺癌を認める。腹部造影CTでリンパ節腫大を認めない。骨シンチグラフィで異常集積を認めない。患者は治療を希望している。
治療法として適切なのはどれか。2つ選べ
抗癌化学療法
密封小線源治療
前立腺全摘除術
経尿道的前立腺切除術
インターフェロンα投与

解答: b,c

105D51の解説

a ドセタキセルという抗癌剤が存在するが、ホルモン剤に抵抗性が出てきた後に用いる。第一選択にはなりえない。
b・c 正しい。前立腺癌では浸潤や転移がない場合、全摘除術もしくは放射線治療を行う。密封小線源治療とは、放射線が放出される物質を前立腺内へ埋め込むものである。周囲に放射線の影響があると考えられる間は個室入院となる。
d 前立腺癌では部分切除は治療にならない。これは前立腺肥大症に対する術式である。
e 浸潤のある前立腺癌に対する薬物治療はLHRHアゴニストやエストロゲン薬によるホルモン療法である。しかし、これらによる治療でPSA値が低下しているにもかかわらず、病勢の悪化が見られる場合を去勢抵抗性前立腺癌といい、この場合にのみ抗癌剤(ドセタキセル)が用いられる。

正答率:82%

テーマ:前立腺癌の治療

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