105B56

次の文を読み、56~58の問いに答えよ。
75歳の男性。不穏状態のため家族に伴われて来院した。
現病歴:3年前からParkinson病の診断で内服治療中であった。1週前から水様下痢と微熱とがあり、食欲がなく水分摂取も不十分であった。3日前から内服をすべて中断している。昨日から39℃台の発熱が出現し、身体が硬くなって起き上がることができなくなった。眼前に小さな虫がいると言い、振り払うような動作を繰り返し、徐々に不穏状態となってきた。
既往歴:5年前から脂質異常症で内服治療中。
生活歴:72歳の妻との2人暮らし。喫煙は20歳から20本/日を30年間。飲酒は週に1回、日本酒2合程度。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識レベルはJCS II-20。身長164cm、体重52kg。体温39.2℃。脈拍124/分、整。血圧86/60mmHg。口腔内は乾燥している。四肢に強い筋強剛があり、右上肢に静止時振戦を認める。腱反射は正常である。
検査所見:血液所見:赤血球508万、Hb 14.8g/dL、Ht 48%、白血球9,500、血小板22万。血液生化学所見:血糖86mg/dL、HbA1c 5.1%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.2g/dL、アルブミン3.8g/dL、尿素窒素56mg/dL、クレアチニン1.4mg/dL、尿酸8.9mg/dL、総コレステロール160mg/dL、トリグリセリド156mg/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST86U/L、ALT40U/L、LD 420U/L(基準176~353)、ALP 180U/L(基準115~359)、CK 820U/L(基準60~196)、Na 147mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 101mEq/L、Ca 9.2mg/dL。CRP 1.2mg/dL。胸部エックス線写真に異常を認めない。
この患者の病態の誘因として考えにくいのはどれか。
脱水
感染症
低栄養状態
抗Parkinson病薬の中断
HMG-CoA還元酵素阻害薬の内服

解答: e

105B56の解説

Parkinson病の診断で内服治療中の高齢男性。3日前から内服をすべて中断し、症状が出現している。四肢に強い筋強剛があり、CK上昇もみられることから悪性症候群と考えられる。
a 水分摂取が不十分で、口腔内が乾燥していることから脱水があると分かる。悪性症候群のリスクの1つだ。
b 1週前から水様下痢と微熱とがあり、CRPの軽度上昇もみられることから感染症があると分かる。悪性症候群のリスクの1つだ。
c 食欲がなかったことから低栄養状態があると分かる。悪性症候群のリスクの1つだ。
d 抗Parkinson病薬の中断が悪性症候群の主たるリスクである。
e 誤り。HMG-CoA還元酵素阻害薬の内服は横紋筋融解症を合併することがあるも、本患者の病態とは異なる。

正答率:69%

テーマ:【長文1/3】悪性症候群の誘因

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