105B52

腹部ダイナミックCTで早期に造影される腫瘤影を認めた。肝動脈造影写真(A)と上腸間膜動脈造影写真(B)とを別に示す。
肝病変に対する治療として適切なのはどれか。(編注:2つの正答が公表された)
肝移植
肝切除術
肝動注化学療法
ラジオ波焼灼療法
肝動脈化学塞栓療法

解答: cまたはe

105B52の解説

肝動脈造影写真(A)では左葉に3cmを越える腫瘍を認め、また右葉にも最低2つの腫瘤を認める。上腸間膜動脈造影写真(B)では門脈左枝が閉塞しているも、本幹の血流は保たれている。肝細胞癌を発症した際の治療方法を問うている。
 ・脳症:なし(1点)
 ・腹水:なし(1点)※直接の記載はないが「腹部平坦」と「下腿の浮腫なし」より。
 ・血清総ビリルビン:0.9mg/dL(1点)
 ・血清アルブミン:2.6g/dL(3点)
 ・プロトロンビン時間〈PT〉:記載なし
以上より、PTが1〜3点のどれをとったとしても、Child-Pugh分類上は7〜9点、すなわちBとなる。
a 肝細胞癌における肝移植の適応は、Child-Pugh分類Cの患者である。
b 腫瘤は左右両葉に分散しており、肝切除は難しそうだ。
c 正しい。肝動注化学療法の適応となる。
d 腫瘍径が3cmを越えており、適応でない。
e 正しい。門脈本幹には閉塞を来していないため、適応である。
※厚労省より解答が2つ公表された。脈管侵襲のある肝細胞癌の治療は専門家によっても意見が別れており、エビデンスや意見の一致が未だ得られていない部分である。攻めすぎた出題だったという印象。

正答率:81%

テーマ:【長文3/3】肝細胞癌〈HCC〉の治療

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