105A47

16歳の女子。浮腫を主訴に来院した。2週前に発熱と咽頭痛とが出現したが3日で症状は消失した。昨日から尿量の減少を自覚し、本日、排尿がほとんどなく、下腿浮腫が出現したため来院した。3か月前の学校検尿では異常を指摘されなかった。身長156cm、体重48kg。体温36.2℃。呼吸数12/分。脈拍80/分、整。血圧138/88mmHg。口蓋扁桃の軽度腫大を認める。前脛骨部に圧痕浮腫を認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血3+、尿沈渣に赤血球100以上/1視野、白血球5~10/1視野、赤血球円柱+。血液所見:赤血球400万、Hb 12.8g/dL、Ht 38%、白血球6,400、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.8g/dL、IgG 1,440mg/dL(基準739~1,649)、IgA 215mg/dL(基準107~363)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン1.2mg/dL、Na 140mEq/L、K 5.6mEq/L、Cl 104mEq/L。免疫学所見:CRP 0.3mg/dL、ASO 1,280単位(基準250以下)、抗核抗体陰性、CH50 18U/mL(基準30~50)。超音波検査で腎の大きさと形状とに異常を認めない。
この患者の入院後の治療方針で適切なのはどれか。
経過観察
アンジオテンシンII受容体拮抗薬投与
ペニシリン系抗菌薬点滴静注
副腎皮質ステロイド経口投与
血液透析療法

解答: a

105A47の解説

2週間前からの先行感染を伴う尿量減少と下腿浮腫が主訴である。蛋白1+、アルブミン3.8g/dlとネフローゼ症候群の診断基準を満たしておらず、尿潜血3+と血尿メインの症候である。また、ASOの上昇やCH50(補体)の低下を認めることから、溶連菌感染後急性糸球体腎炎の診断となる。
a 正しい。安静指示と水分・塩分制限が原則的な対応である。
b 治療が必要となるほどの高血圧は呈していない。
c 口蓋扁桃の経度腫大はあるもののCRP 0.3mg/dlと感染症状は落ち着いており、腎炎への対応が優先となる。
d 急性糸球体腎炎に副腎皮質ステロイドは不要である。
e 急性糸球体腎炎に血液透析は必要なく、適応基準も満たしていない。

正答率:61%

テーマ:溶連菌感染後急性糸球体腎炎〈PSAGN〉の治療方針

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