104I63

65歳の女性。労作時呼吸困難、発熱および体重減少を主訴に来院した。半年前から空咳があり、階段を昇るときに息切れを自覚していた。1か月前から38℃を超える発熱が持続し、抗菌薬を服用したが軽快しなかった。体重が1か月で2kg減少した。最近、関節痛や筋肉痛も自覚するようになった。朝のこわばりはない。心音と呼吸音とに異常を認めない。関節腫脹と筋力低下とを認めない。尿所見:蛋白2+、潜血3+。血液所見:赤血球317万、Hb 9.5g/dL、Ht 26%、白血球12,500、血小板55万。血液生化学所見:クレアチニン2.4mg/dL、CK 70U/L(基準30~140)。免疫学所見:CRP 14.5mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陽性。
診断に最も有用なのはどれか。
ANCA
抗Sm抗体
抗CCP抗体
抗Jo-1抗体
抗リン脂質抗体

解答: a

104I63の解説

高齢女性の労作時呼吸困難、発熱および体重減少。空咳が存在し、間質性肺炎の存在が示唆される。尿所見にて蛋白2+、潜血3+と腎障害もありそうだ。リウマトイド因子〈RF〉陽性からは何かしらのリウマチ関連疾患と考えられるが、与えられた情報だけから確定診断に至ることはできない。消去法でアプローチしたい。
a 正しい。MPO-ANCAが陽性となる、顕微鏡的多発血管炎〈MPA〉の可能性が高い。
b 抗Sm抗体は全身性エリテマトーデス〈SLE〉にて上昇する。汎血球減少をみておらず、否定的。
c 抗CCP抗体は関節リウマチにて上昇する。関節腫脹や朝のこわばりが無いことから否定的。
d 抗Jo-1抗体は皮膚筋炎や多発性筋炎で上昇する。CKが正常値であることから否定的。
e 抗リン脂質抗体は抗リン脂質抗体症候群〈APS〉にて上昇する。血栓傾向にないことから否定的。

正答率:57%

テーマ:顕微鏡的多発血管炎〈MPA〉の検査

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