104B56

次の文を読み、56~58の問いに答えよ。
76歳の男性。発熱と呼吸困難とを主訴に来院した。
現病歴:2か月前から嚥下障害を自覚していたが放置していた。5日前から水分摂取時にむせるようになった。昨日から熱感と呼吸困難とを自覚している。6か月間に8kgの体重減少を認めた。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。身長170cm、体重52kg。体温38.9℃。脈拍104/分、整。血圧150/88mmHg。左下肺野にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球325万、Hb 10.1g/dL、Ht 30%、白血球9,800、血小板37万。血液生化学所見:血糖88mg/dL、総蛋白5.6g/dL、アルブミン2.6g/dL、クレアチニン0.9mg/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST 30U/L、ALT 22U/L、ALP 198U/L(基準115~359)、アミラーゼ138U/L(基準37~160)。胸部造影CT(A、B、C)を別に示す。
この病態に伴う症状はどれか。2つ選べ
黄疸
咳嗽
下痢
嗄声
腹部膨満

解答: b,d

104B56の解説

胸部造影CT(A)では食道に腫瘤を認める。胸部造影CT(B)では腫瘍の浸潤により食道と気管に瘻孔を形成している。胸部造影CT(C)では左肺背側に浸潤影を認める。食道気管瘻を合併した食道癌を考える。
a 総ビリルビンは正常であり黄疸は伴わない。
b 正しい。食道気管瘻に伴う症状として矛盾しない。
c 下痢症状と食道癌と関連はない。
d 正しい。進行食道癌のため、反回神経に進達する可能性はある。
e 気管と食道とが交通しているわけで、気道経由のairが消化管へと入り込み、腹部膨満をきたす可能性はある。が、本文中で敢えて「腹部は平坦、軟」と記載がある以上、ほかの明らかな正解肢をさておいてまで選択する必要はない。

正答率:94%

テーマ:【長文1/3】進行食道癌の症状

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