104A51

鉛取り扱い作業者と有機溶剤(トルエンが主成分)取り扱い作業者とがいる事業所で、従業員の一般健康診断と特殊健康診断とを実施した。有機溶剤取り扱い作業者に対してのみ、前夜からの清涼飲料水、栄養ドリンクおよびアルコール飲料の摂取を禁止し、従業員全員に対して当日の朝食摂取を許可した。休日明けの午前中、作業開始前に、血液と尿とを採取した。
検体採取時期が適切でない検査項目はどれか。
AST
HbA1c
血中鉛
尿中馬尿酸
尿中δ-アミノレブリン酸

解答: d

104A51の解説

鉛中毒とトルエン中毒。「検体採取時期が適切でない検査項目」が問われているため、「休日明けの午前中、作業開始前」というタイミングが不適切なものを考えたい。
a ASTは筋障害や肝障害の指標となる。検査タイミングによる大きな変動はない。
b HbA1cは数か月前の血糖コントロールの指標となる。検査タイミングによる大きな変動はない。
c 血中鉛の半減期は1か月程度。検査タイミングによる大きな変動はない。
d 誤り。馬尿酸はトルエンの代謝物。この半減期は1.5時間と極めて短い。ゆえに作業終了後に測定すべき。
e δ-アミノレブリン酸はプロトポルフィリン〈PP〉合成の際の中間代謝物。鉛中毒ではPP合成が滞り、δ-アミノレブリン酸が尿中へ流出する。ということは血中鉛が高い間は尿中δ-アミノレブリン酸も高値となるわけでcと同様の議論となる。

正答率:70%

テーマ:鉛中毒と有機溶剤中毒の検査

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