103I61

29歳の男性。意識障害、頭痛および発熱のため搬入された。4日前から、発熱、頭痛および嘔吐が出現した。翌日、頭が割れるように痛いと訴え、他院を受診した。体温39.6 ℃。項部硬直はなく、頭部CTで異常を指摘されなかった。セフェム系抗菌薬が投与されたが頭痛と発熱とが持続し、意識障害が出現した。搬入時、意識レベルはJCS III-300。瞳孔はピンポイントである。項部硬直を認める。血液所見:赤血球500万、Hb 14.6g/dL、Ht 45%、白血球17,900、血小板29万。CRP 7.9mg/dL。髄液は外見が白色、細胞数1,792(単核球:多核球=332:1,460)/μL(基準0~2)、糖15mg/dL(基準50~75)。頭部単純MRIのT1強調像(A)、T2強調像(B)及び造影T1強調像(C)を別に示す。
考えられるのはどれか。
脳膿瘍
ヘルペス脳炎
悪性リンパ腫
転移性脳腫瘍
多発性硬化症

解答: a

103I61の解説

若年男性の意識障害、頭痛および発熱。項部硬直を認めることから髄膜炎を一瞬考えるが、瞳孔はピンポイントであることから脳内に影響が及んでいる可能性が高いと思い直す。ポイントはMRIであろう。3枚とも脳内の多発ring enhancementがみられており、脳膿瘍と考えられる。髄液検査では多核球優位の細胞増加がみられ、細菌性脳膿瘍の診断。
a 正しい。上記の通り。
b ヘルペス脳炎では髄液所見がウイルス性を示唆するものとなる。
c・e これら病態では脳内にring enhancementをみない。
d 転移性脳腫瘍は若年男性での頻度が低い。また、炎症症状には乏しい。

正答率:84%

テーマ:脳膿瘍の診断

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