103I56

54歳の女性。右手指のしびれを主訴に来院した。5か月前から右母指、示指および中指にビリビリした感じがあり、特に朝、目を覚ました時に強かった。1年前から縫製の内職をしているが、3か月前から針を持つ時に指に力が入らない。
みられるのはどれか。2つ選べ
母指球筋の萎縮
示指伸展筋力の低下
母指背側の感覚障害
肘管部でのTinel徴候
手関節掌屈による感覚異常の増強

解答: a,e

103I56の解説

母指、示指、中指は正中神経領域であり、手根管症候群が最も考えられる。手根管症候群は夜間や早朝に症状が強く出ることが多く、本問にも合致する。
a 正しい。運動神経麻痺のため母指球筋の萎縮や同部位の筋力低下を認める。手掌が扁平になり、猿手と呼ばれる。
b 手指の伸筋は橈骨神経支配である。問題文にも針を持つ指に力が入らない、とあるため伸筋の筋力低下は考えにくい。
c 手の知覚神経の支配領域(正中神経、尺骨神経、橈骨神経)は覚えるべきである。母指〜環指の腹側は正中神経、母指〜中指の背側は橈骨神経支配である。
d 障害された神経では、再生途中で髄鞘に包まれない軸索が存在し、機械滴刺激に非常に敏感となる。そのような障害部位を叩打した際に放散痛が生じることをTinel徴候という。手根管症候群でも確かにTinel徴候はみられるが、肘管部ではなく手根管部である。
e 正しい。手根管症候群では手関節の屈曲でしびれが増強し、これをPhalenテストという。

正答率:60%

テーマ:手根管症候群の所見

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