103E65

次の文を読み、65~67の問いに答えよ。
42歳の女性。口渇、多飲および多尿を主訴に来院した。
現病歴:1年前から義母の介護が始まり生活が不規則になった。1か月前から症状が出現している。
既往歴:25歳時、アルコール性肝障害を指摘された。
生活歴:飲酒は日本酒2合/日を22年間。喫煙歴はない。
家族歴:姉、母親および母方祖母が糖尿病である。
現 症:意識は清明。身長152 cm、体重42 kg。脈拍80/分、整。血圧154/92 mmHg。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖4+、ケトン体1+。血液所見:赤血球420万、Hb 10.8 g/dL、血小板10万。血液生化学所見:随時血糖406 mg/dL、HbA1c 10.5 %、AST 88 U/L、ALT 64 U/L、LD 429 U/L(基準176~353)、クレアチニン0.6 mg/dL。
病態として考えられるのはどれか。2つ選べ
腎性糖尿
アシドーシス
インスリン分泌亢進
肝からの糖放出亢進
エリスロポエチン分泌低下

解答: b,d

103E65の解説

中年女性の口渇、多飲および多尿。尿糖4+、尿ケトン体1+、随時血糖406mg/dLより糖尿病性ケトアシドーシス〈DKA〉の診断。やや気になるのは「姉、母親および母方祖母が糖尿病」という記載。すべて女性である。たまたまと考えて良いものか。断言するためにはさらなる精査が必要となるが、母系遺伝をするミトコンドリア病が考えやすい。この合併症としての糖尿病、そしてそこからのDKAが疑わしい。
a 腎由来の病態ではなく、インスリン欠乏による病態である。
b 正しい。代謝性アシドーシスをみる。
c aに示したように、インスリンは欠乏する。
d 正しい。インスリン欠乏により、むしろ肝へ糖をしまい込むことができなくなる。
e クレアチニン0.6mg/dlと腎障害は否定的。エリスロポエチン分泌は保たれているはずだ。

正答率:53%

テーマ:【長文1/3】ミトコンドリア遺伝子異常による糖尿病の病態

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