103D41

4歳の男児。咳嗽を主訴に入院した。今朝から37.6 ℃の発熱と軽い乾性咳嗽とが出現し、午後からはのどの奥から絞り出すような咳嗽となった。声もかすれてきた。嚥下困難はなく、食物・水分の摂取はできていた。午後10時になって吸気性の喘鳴が聞かれるようになり、機嫌も悪くなった。意識は清明。身長98 cm、体重14.8 kg。体温38.1 ℃。呼吸数30/分。脈拍112/分、整。心音に異常を認めない。全肺野で上気道から放散する吸気性のrhonchi〈いびき様音〉を聴取するが、cracklesは聴取しない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は90 %である。頸部エックス線写真(正面像)を別に示す。
対応として適切なのはどれか。
鎮咳薬の経口投与
アドレナリンの吸入
鎮静薬の皮下注射
抗菌薬の静脈注射
気管切開

解答: b

103D41の解説

発熱と軽い乾性咳嗽とが出現している4歳の男児である。吸気性喘鳴をみとめ、rhonchi〈いびき様音〉を聴取することから上気道の狭窄を示唆できる。頸部エックス線写真では気道狭窄所見( pencil sign または steeple sign)をみるため、クループ症候群の診断となる。
a 呼吸困難を呈しており、鎮咳薬によって咳嗽が悪化してしまう恐れがある。
b 正しい。アドレナリンの吸入による気道拡張は有効である。
c 鎮静薬により咳嗽反射が弱まることで呼吸困難が増悪する可能性がある。
d クループ症候群は主にパラインフルエンザウイルス感染によるため、抗菌薬は無効である。
e 自発呼吸がありSpO2も軽度低下に留まっているため、行うにしても気管挿管でよい。

正答率:72%

テーマ:クループ症候群への対応

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