103B53

次の文を読み、53~55の問いに答えよ。
64歳の男性。発熱と排尿困難とを主訴に来院した。
現病歴:2年前から夜間頻尿と尿線狭小とを自覚していたが、生活に支障がないため放置していた。5日前から風邪をひいていた。2日前から頻尿、排尿痛および排尿困難を認めた。昨晩から悪寒がある。
既往歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。身長160 cm、体重62 kg。体温38.9 ℃。脈拍104/分、整。血圧148/88 mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。腹部超音波写真を別に示す。
症状でみられるのはどれか。
無尿
残尿感
背部痛
陰嚢痛
腹圧性尿失禁

解答: b

103B53の解説

高齢男性の排尿困難から考えることは前立腺肥大症〈BPH〉であるが本症例では発熱も認めている。では感染源はどこか? このような場合、尿路感染症ともう1つ、忘れてはならないのは前立腺炎である。超音波写真では、大きく腫大した前立腺を認める。
a 無尿とは尿量が1日100mlに満たない状態をさすが、排尿時痛や頻尿を認めているという記載があり、否定的である。
b 正しい。頻尿や排尿痛、排尿困難を認めているため、残尿感も生じていてもおかしくない。BPHの背景からも導ける。
c 泌尿器領域としては腎盂腎炎や尿路結石で認めるが、前立腺炎では認めない。
d 精巣炎や精巣上体炎で認めるが、それを示唆する所見はない。
e 経過から考えると切迫性尿失禁は考えられるが、骨盤底筋群の脆弱化に伴うとされる腹圧性尿失禁は考えにくい。

正答率:86%

テーマ:【長文1/3】みられている症状

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