102I70

28歳の1回経産婦。妊娠25週時に少量の性器出血と下腹部痛とを主訴に来院した。1週前の診察では子宮頸管長は40mmで、母児共に異常を認めなかった。昨夜から不規則な子宮収縮を自覚し、明け方排尿時に少量の性器出血に気付いた。4年前に子宮頸部上皮内癌で子宮頸管円錐切除術を受け、2年前の初回妊娠は妊娠32週で早産となり、今回は妊娠14週時にShirodkar頸管縫縮術を受けている。体温37.3℃。脈拍96/分、整。血圧120/72mmHg。腟鏡診で帯下は血性、外子宮口は閉鎖し羊水の流出は認めない。内診では子宮口は中央で硬く展退度は50%、先進部は胎児殿部で下降度Sp−3である。腹部超音波検査では、胎児の推定体重は662g、羊水量に異常を認めない。子宮頸管長20mm。胎児心拍数陣痛図では10~15分間隔の子宮収縮を認めるが、心拍数パターンに異常を認めない。1週前の外来での腟分泌物培養検査では、Enterococcus faecalis 2+、Streptococcus agalactiaeGBS)2+、Lactobacillus species(-)で、頸管粘液中の好中球エラスターゼは陽性である。尿所見:蛋白1+、糖(-)。血液所見:赤血球345万、Hb 11.7g/dL、白血球10,200、血小板20万。CRP 1.3mg/dL。
まず行うのはどれか。
子宮収縮薬投与
ペニシリン系抗菌薬投与
羊水除去による子宮内圧減圧
子宮頸管再縫縮
帝王切開

解答: b

102I70の解説

妊娠25週であり、少量の性器出血と下腹部痛とをきたいしている28歳の1回経産婦である。4年前に子宮頸部上皮内癌で子宮頸管円錐切除術を、妊娠14週時にShirodkar頸管縫縮術を受けている。子宮頸管長20mmであり、胎児心拍数陣痛図では10~15分間隔の子宮収縮を認めることから切迫早産の状態である。腟分泌物培養検査ではStreptococcus agalactiae(GBS)陽性、Lactobacillus species陰性であり、頸管粘液中の好中球エラスターゼも陽性であることから、絨毛膜羊膜炎の診断となる。ちなみに、Enterococcus faecalisは腸球菌であり、膣内の常在菌である。
a 切迫早産を抑えるために、子宮収縮抑制薬を投与すべきである。
b 正しい。原因菌に感受性があり、かつ妊婦に使用可能なペニシリン系抗菌薬を投与する。
c 羊水量に異常を認めないことから、羊水除去による子宮内圧減圧は不要である。
d・e 心拍数パターンに異常を認めていないので、子宮頸管再縫縮や帝王切開の適応とならない。

正答率:86%

テーマ:絨毛膜羊膜炎の治療

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