102D56

58歳の女性。排尿時痛を主訴に来院した。2日前から頻尿、残尿感および排尿時痛を認めた。発熱はなかった。普段は腹圧を用いて排尿をしていたが、明らかな残尿感は自覚していなかった。10年前から糖尿病を指摘されていたが未治療であった。体温36.5℃。腹部は平坦、軟で、下腹部の圧痛はない。尿所見:蛋白1+、糖2+、沈渣に赤血球5~10/1視野、白血球5~10/1視野。血液所見:空腹時血糖186mg/dL、HbA1c 9.0%(基準4.3~5.8)。
次に行う検査はどれか。
膀胱鏡
残尿測定
骨盤部造影CT
静脈性尿路造影
排尿時膀胱造影

解答: b

102D56の解説

女性の未治療糖尿病患者が頻尿・排尿時痛を訴えており発熱もないため、膀胱炎を真っ先に考える。しかし、腹圧を用いての排尿や残尿感の自覚がないことから糖尿病による神経因性膀胱も考えねばならない。
a 間質性膀胱炎では膀胱鏡が診断に有用であるが、通常の膀胱炎では肉眼的に見ても何も分からない。
b 正しい。残尿を測定することで神経因性膀胱の診断に有用である。
c 骨盤部の腫瘍や血管病変を疑う所見はないので無効。
d 腎〜膀胱までの形態の状態や機能異常を評価することができるが、膀胱炎の判断はつかない。
e 膀胱尿管逆流症などに有用であるが、膀胱炎や神経因性膀胱には無効。
※膀胱炎自体の検査を選ばせない点でややひねくれている問題に感じた。出題者としては神経因性膀胱を背景とした複雜性膀胱炎と判定させたいのであろう。

正答率:69%

テーマ:膀胱炎に行う検査

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