101G38

1歳の男児。39℃台の発熱とおむつに膿が付着していることとを主訴に来院した。5か月前に39℃台の発熱が3日間持続し、近医で感冒の診断で治療を受けたことがある。尿所見:蛋白1+、沈渣に赤血球5~8/1視野、白血球30~50/1視野。血液所見:赤血球430万、Hb 12.3g/dL、Ht 38%、白血球13,800。血清生化学所見:尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL。排尿時膀胱造影写真を別に示す。
考えられるのはどれか。
腎膿瘍
馬蹄鉄腎
尿管膀胱外開口
膀胱尿管逆流
精巣炎

解答: d

101G38の解説

a 腎膿瘍とは、腎実質内に膿瘍が生じる疾患であるが、おむつに膿がつくということはない。
b 馬蹄鉄腎とは、両腎臓が正中で癒合する先天奇形である。本症例では、腎臓の形は確認できないが腎盂の形は造影で確認することができるため長軸の推定は可能である。画像では、腎臓の長軸の延長は頭側で交差しているが、馬蹄鉄腎では尾側で交差するため合致しない。
c 異所性尿管ともいう。本来とは異なるが膀胱内へ開口していた場合、本症例のように逆流することもあるが、膀胱外へ開口していた場合、開口先が造影されるはずであるため本症例は正常と考えられる。
d 正しい。排尿時膀胱造影が行われているという時点で推察可能であるが、画像では確かに膀胱内の造影剤が尿管へ逆流している。逆流があると尿路感染症をきたしやすい。本症例でも発熱や血液・尿所見から、腎盂腎炎が生じていると考えられる。
e 精巣炎では陰嚢の腫脹と激しい痛みを伴う。尿路感染症ではなく、おむつに膿がつくことはない。

正答率:86%

テーマ:膀胱尿管逆流〈VUR〉の診断

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