101A4

72歳の女性。75歳の夫と娘夫婦とに伴われて来院した。3か月前から「夫が浮気をしている」と疑いだした。ことあるごとに夫を責めるが、家族によれば浮気の事実はない。夫が買い物に出かけ帰宅が遅れると、「女性と会っていた」と激しく夫を責める。そのことで口論になるとますます激しく興奮する。近くに住む娘夫婦が仲裁に入るが、全く聞く耳を持たず、夫が浮気をしていることを堅く信じて疑わない。興奮すると夜も眠らずに、夫を責め続けるという。また、物忘れが急に進んだようだと家族が言う。身体疾患、薬物乱用およびアルコール乱用歴はない。
考えられるのはどれか。2つ選べ
統合失調症
妄想性障害
Alzheimer型認知症
急性一過性精神病性障害
統合失調感情障害

解答: b,c

101A4の解説

夫の浮気、という単一事象に対する妄想をもつ高齢女性。妄想性障害が考えやすい。物忘れが急に進んだ、とのことで認知症(疫学的に最多なのはAlzheimer型認知症)もありそうだ。
a 統合失調症では多彩な妄想が出現する。単一の妄想がみられた場合では妄想性障害と考える。
b・c 正しい。上記の通り。
d 急性一過性精神病性障害では症状が1か月以上持続することはない。
e 統合失調感情障害では文字通り、うつ病や躁病といった感情障害がみられる。

正答率:70%

テーマ:Alzheimer型認知症と妄想性障害の診断

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