101A36

54歳の男性。蛋白尿の精査加療を目的に来院した。13年前に糖尿病と診断され、食事指導を受けたことがある。4か月前の健康診断で尿糖と尿蛋白とを指摘された。身長165cm、体重67kg。脈拍72/分、整。血圧140/90mmHg。尿所見:蛋白1+、糖(±)、沈渣に異常はない。血清生化学所見:空腹時血糖130mg/dL、HbA1c 7.5%(基準4.3~5.8)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン1.2mg/dL。血糖コントロールに加えて行う治療はどれか。
高蛋白食
β遮断薬投与
アンジオテンシン変換酵素阻害薬投与
副腎皮質ステロイド薬投与
免疫抑制薬投与

解答: c

101A36の解説

13年前に糖尿病と診断され食事指導を受け、4か月前の健康診断では尿糖と尿蛋白とを指摘され蛋白尿の精査目的にて来院した中年男性である。空腹時血糖130mg/dl、HbA1c 7.5%(基準4.3~5.8)と糖尿病の診断基準を満たしており、血糖コントロールが必要である。加えて、尿蛋白1+、クレアチニン1.2mg/dlであり腎不全が考えられ、糖尿病性腎症の合併を疑う。140/90mmHgと高血圧があり、糖尿病性腎症の増悪を防ぐために血圧コントロールも行いたい。
a 糸球体障害が増悪してしまうため、糖尿病性腎症では低蛋白食とする。
b β遮断薬はインスリン抵抗性があるだけではなく、交感神経が血糖コントロール中に抑制されると、本来生じるはずの低血糖症状を隠してしまうため、糖尿病性腎症の降圧薬としては不適切である。
c 正しい。糖尿病性腎症では血糖コントロールに加え、レニン・アンジオテンシン系阻害薬であるアンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬が治療の第1選択である。
d・e 糖尿病による易感染性が悪化するため、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬は使用しない。

正答率:83%

テーマ:糖尿病患者に用いる降圧薬

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