100H35

15歳の男子。右膝痛を主訴に来院した。3週前、走っていた際に突然右膝痛が出現した。安静によって一時軽快したが、1週前から痛みが再発し増悪傾向にある。初診時の右膝エックス線単純写真(A)と大腿骨遠位部の骨生検H-E染色標本(B)とを別に示す。
診断はどれか。
骨巨細胞腫
骨肉腫
軟骨肉腫
Ewing肉腫
悪性線維性組織球腫

解答: b

100H35の解説

15歳の男性の増悪する膝痛で、Aでは大腿骨遠位部の骨幹端部にCodman三角、spicula形成を認める。いずれも原発性悪性骨腫瘍で認められる骨膜反応である。Bでは網目状の類骨形成がみられる。骨肉腫の診断。骨腫瘍では好発部位・好発年齢を知っておくことで鑑別が容易となる。
a 骨巨細胞腫は骨端線閉鎖後の若年者に好発する良性骨腫瘍である。骨吸収性腫瘍であるのでエックス線写真では骨皮質の菲薄化や透明巣(soup bubble appearance)が認められる。また、HE染色では多核巨細胞が観察されるはずであるため、本症例とは合致しない。
b 正しい。同じ悪性骨腫瘍であるEwing肉腫との鑑別が重要である。本症例のように自覚症状がある場合はすでに肺転移がある場合が多い。
c 軟骨肉腫の好発部位は骨幹端部の悪性腫瘍で本問に一致するが、好発年齢は40-50歳代である。また、エックス線写真では骨透亮像を認める。
d Ewing肉腫は骨幹部に好発する予後不良な悪性骨腫瘍である。onion peel appearanceやspiculaが目立つことが多い。HE染色では大きさがほぼ均一で細胞質に乏しい小円形の細胞が多数増殖する。また、腫瘍細胞はグリコーゲン顆粒を含むためPAS染色陽性となる。
e 好発年齢は50-70歳と比較的高齢で、本症例のような15歳の少年に発症することは稀である。無痛性の腫瘤として発見されることが多く、四肢や後腹膜に好発する。

正答率:79%

テーマ:骨肉腫の診断

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