100F34

75歳の男性。腹部膨満と嘔吐とを主訴に来院した。65歳から高血圧症で降圧薬を服用中である。腹部手術の既往はない。半年前から排便困難と便柱狭小とがあり、時々血便も認めていた。1週前から便秘が続き、昨日から排ガスが消失した。腹部は全体に膨隆しているが、圧痛や筋性防御は認めない。直腸診で全周性の腫瘤を触知する。血液所見:赤血球380万、Hb 10.2g/dL、Ht 33%、白血球8,600、血小板38万。血清生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン3.8g/dL、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL。免疫学所見:CRP 0.5mg/dL、CEA 15ng/mL(基準5以下)。
治療として最も適切なのはどれか。
胃管挿入
高圧浣腸
緩下薬投与
抗癌化学療法
人工肛門造設

解答: aまたはe

100F34の解説

半年前から排便困難、便柱狭小があり、血便も認めている。CEAは高値であること、直腸診で全周性の腫瘤性病変を認めており直腸癌と考えられる。直腸癌による機械性イレウスを呈しており、その治療法を選択する問題である。
a △。イレウスに対する治療であるが、本問では直腸でのイレウスであるため、経鼻から胃管を挿入し減圧を図れるかは難しい。しかし嘔吐を呈している症例では一時的は治療としては間違っていないため、正解選択肢とする。
b イレウス時に高圧浣腸は穿孔の恐れがある。
c イレウス時に緩下薬投与は症状を増悪される恐れがある。
d 現時点でステージ分類は不明であり、適応かはわからない。まずはイレウスの治療を行う。
e 正しい。狭窄部位より口側に人工肛門を一時的に造設する。

正答率:86%

テーマ:直腸癌の治療

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