100D45

次の文を読み、45、46の問いに答えよ。
53歳の男性。右のどの痛みを主訴に来院した。
現病歴:1か月前から食物を飲み込むときに右咽頭部の鈍い痛みを自覚するようになった。
既往歴:10年前から糖尿病と高血圧とで通院している。
生活歴:喫煙40本/日を33年間。
現 症:意識は清明。身長165cm、体重65kg。体温36.3℃。脈拍72/分、整。血圧140/90mmHg。右頸部に圧痛を認めるが、リンパ節は触知しない。血液所見:赤沈15mm/1時間、赤血球500万、Hb 14.5g/dL、Ht 40%、白血球6,000、血小板23万。CRP 0.3mg/dL。下咽頭の内視鏡写真を別に示す。頸部造影CTではリンパ節の腫大は認めない。生検で扁平上皮癌と診断された。
対応として適切なのはどれか。
経過観察
温熱療法
放射線治療
喉頭全摘術
動脈塞栓術

解答: c

100D45の解説

画像では、右の梨状陥凹に出血を伴う腫瘤を認め、右梨状陥凹癌と分かる。
a 悪性腫瘍なのでなんらかの処置が必要。
b 温熱療法は、病変部の温度を40度付近まで上昇させることで免疫を活性化し癌を小さくするという理論によるものだが西洋医学的知見からその効果は明らかではない。
c 正しい。生検で扁平上皮癌と診断されており、放射線治療が第一選択である。進行癌の場合、下咽頭・喉頭・食道頸部切除術を施行し下咽頭・食道再建術を追加する。
d 進行癌に対して行われる。造影CTでリンパ節の転移を示唆する所見がないので本症例は進行癌ではないという判断となる。
e 動脈塞栓術〈TAE〉は血流豊富な肝臓癌に施行されることが多いが、頭頸部癌でも出血の多いものには放射線療法や手術療法と併用して使われることがある。本症例では口腔内・鼻腔からの出血はないので適切ではない。

正答率:81%

テーマ:【長文1/2】下咽頭癌への対応

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