100D25

52歳の女性。腹痛を主訴に来院した。数年前から時々上腹部痛があり、昨年上部消化管造影を受け十二指腸球部の変形を指摘された。夫と二人暮らしである。5日前から空腹時にみぞおちが鈍く痛むようになり、2日前から黒色便が続いている。少し動くと動悸がする。意識は清明。身長157cm、体重48kg。体温36.5℃。脈拍112/分、整。血圧92/60mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。心雑音はなく、呼吸音に異常はない。上腹部に圧痛を認める。血液所見:赤血球270万、Hb 7.0g/dL、Ht 21%、白血球8,000、血小板24万。担当医は緊急上部消化管内視鏡検査と入院治療とが必要であると考えて説明を行ったが、患者は「夫の世話をしなければならないので、内服薬をもらって帰りたい」と言っている。
検査と入院とを勧める際、信頼関係の構築に適切でないのはどれか。
指示に従わない限り治療しないと示唆する。
検査で判明する疾患を説明する。
入院治療の効果を強調する。
病態の重篤性を説明する。
家族の協力を依頼する。

解答: a

100D25の解説

空腹時の心窩部痛。上部消化管造影で十二指腸球部の変形が指摘されていること、黒色便が続いていること、などより十二指腸潰瘍からの出血を考える。
a 誤り。パターナリズムな対応であり、不適切。
b なぜ検査が必要か、その重要性を分かってもらうために必要な説明だ。
c なぜ入院治療が必要か、その重要性を分かってもらうために必要な説明だ。
d 血圧の低下や高度の貧血がみられている。最悪、死にも至りかねない重篤な病態である。
e 夫の協力のもと、十二指腸潰瘍出血の治療にあたるのが理想である。

正答率:93%

テーマ:信頼関係の構築に適切な対応

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