100B56

腕神経叢麻痺の原因で最も多いのはどれか。
転倒
バイク事故
スポーツ外傷
重いリュックサック
手術時の不適切肢位

解答: b

100B56の解説

C5〜T1までの神経根前枝からなる神経叢である。構造から復習してみると、脊髄からそれぞれ前根と後根が伸び一度合流して前枝と後枝へ分かれるが、後根の途中に脊髄神経節があり、後根の細胞体は神経節に存在する。腕神経叢麻痺では、脊髄神経節より脊髄側の場合を節前損傷、末梢側の場合を節後損傷という。特に前者は引き抜き損傷といい予後不良である。多いのはバイク事故、高速滑走しているスポーツでの転倒であり、また、頸部を牽引されて産まれた児で起こったものは分娩麻痺となる。頭頸部と肩・上肢がそれぞれ逆方向に強く牽引された時に生じるが、バイク事故では、バイクの速度で身体が投げ出されている状態で最初に着地した肩が地面に制動されることで強い牽引力が生じる。
a 単なる転倒では起こらない。高速移動中の転倒で生じやすい。
b 正しい。上記の通り。
c スキーで高速滑走中の転倒では生じやすい。しかし、「最も多い」のはバイク事故である。
d リュックサックのストラップが食い込んで長胸神経麻痺を起こす場合があり、リュックサック麻痺ともいう。同時に筋皮神経や腋窩神経を麻痺するケースもある。「最も多い」わけではない。
e 多いのは、橈骨神経麻痺、尺骨神経麻痺、総腓骨神経麻痺、そして腕神経叢麻痺と言われる。腕神経叢麻痺は頭部を横に傾けた状態で肩関節や上肢が下方に引っ張られたときに生じると言われる。「最も多い」わけではないが注意が必要な疾患である。いずれも予防可能な麻痺であるため、長時間の手術の場合にはクッションや低反発のスポンジなどを用い良肢位を保つよう心がける。

正答率:65%

テーマ:腕神経叢麻痺の原因で最も多いこと

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