100A52

61歳の女性。右膝関節の激痛と腫脹とを主訴に来院した。境界型糖尿病の既往歴がある。2年前から変形性膝関節症の保存的治療を受けている。関節内注射を受けた後から、徐々に疼痛の増加と腫脹とが出現した。体温38.8℃。右膝関節に腫脹、熱感および膝蓋跳動を認める。関節穿刺液所見:低粘稠、混濁、白血球70,000、糖25mg/dL、尿酸塩(-)、ピロリン酸カルシウム結晶(-)。血液所見:赤血球375万、Hb 11.2g/dL、白血球12,000、血小板37万。血清生化学所見:血糖140mg/dL、総蛋白6.4g/dL、アルブミン3.2g/dL。免疫学所見:CRP 7.4mg/dL、リウマトイド因子陰性。
対応として適切なのはどれか。2つ選べ
関節の持続洗浄
抗菌薬の全身投与
人工膝関節全置換術
大腿四頭筋強化運動
膝関節可動域拡大訓練

解答: a,b

100A52の解説

腫脹・疼痛・熱感を伴う関節と、白血球を含む混濁した関節液を認め、化膿性関節炎であると考えられる。化膿性関節炎は、変形性膝関節症や関節リウマチなどの関節疾患や、糖尿病やステロイド投与中の膠原病など基礎疾患をもつ患者でみられやすく本症例にも合致する。また、鑑別としては偽痛風が考えられるが、関節液に結晶を認めないため否定的である。
a 正しい。閉鎖空間の感染では切開排膿、洗浄が基本である。
b 正しい。発熱を認め、血液検査では白血球やCRPが上昇しておりすでに全身性となっているのが分かる。よって抗菌薬の全身投与が必要といえる。
c 関節疾患に人工関節術は行ってはならない。するとしても、炎症が完全に落ち着いた後である。
d・e 感染症であるためまずはその治療が必要。

正答率:91%

テーマ:化膿性関節炎への対応

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