100A3

33歳の2回経産婦。妊娠30週に少量の性器出血と子宮収縮とを認めたため紹介状を持って来院した。前医で妊婦健康診査を受け、高血圧のため塩酸ヒドララジン20mg/日を服用していた。血圧164/96mmHg。浮腫は脛骨稜に軽度認めるが、全身には及んでいなかった。内診で子宮口は2cm開大、経腟超音波検査による頸管長は15mm、腟内容は白色透明であった。尿所見:蛋白1+、糖(-)。直ちに入院安静とし、塩酸ヒドララジンを40mg/日に増量しメチルドパも併用した。15分周期の子宮収縮を認めたため、塩酸リトドリンを100μg/分で持続点滴投与した。2週後、腹部緊満感はやや軽減したが、血圧は160/100mmHg前後で推移し最近上昇傾向にある。胎位は第2頭位。羊水穿刺によるマイクロバブルテストの結果は陽性である。胎児推定体重の推移を別に示す。
対応として適切なのはどれか。
経過観察
メチルドパの増量
塩酸リトドリンの増量
副腎皮質ステロイド薬の投与
分娩誘発

解答: e

100A3の解説

妊娠30週であり、少量の性器出血と子宮収縮とを認めた33歳の2回経産婦である。高血圧のために塩酸ヒドララジン20mg/日を服用しているも、血圧164/96mmHgと重症妊娠高血圧であり最近上昇傾向にある。胎児推定体重の推移では30週以降体重増加がみられず、胎児発育不全となっている。
a 重症の妊娠高血圧であり、早期に治療すべきである。
b・c 併用や持続投与によっても対応できておらず、増量による寛解は期待できない。
d マイクロバブルテストの結果は陽性であることから肺成熟は良好であり、副腎皮質ステロイド薬投与は不要である。
e 正しい。マイクロバブルテストの結果は陽性であることから肺成熟は良好であり、分娩誘発が行える。

正答率:80%

テーマ:妊娠高血圧症候群〈HDP〉への対応

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