ST上昇する疾患として、spasmを伴う異型狭心症やSTEMIのような「急激に」発症する疾患をイメージしておりました。一方、ST低下する疾患は、労作性狭心症や不安定狭心症のような「ゆったりと」「反復する」(あくまでイメージです)ような疾患と理解しております。
心室瘤はAMIの慢性期合併症ですが、なぜ慢性期であるのに心電図での所見がST上昇なのでしょうか??
知っている方がいれば教えていただけると幸いです。
STの上昇や低下とは、虚血細胞と正常細胞の間に電位差が生じ、傷害電流が発生することにより生じます。
虚血細胞はATPが枯渇しているためにNa/K ATPaseの働きが低下しており静止膜電位が上昇しています。また、ATP感受性KチャネルによりKが流出し再分極が早まり活動電位持続時間が短縮しています。
この2つの機序により収縮期には正常細胞から虚血細胞に、拡張期には虚血細胞から正常細胞に傷害電流が流れます。
今回は分かりやすくするために、収縮期のみに焦点を当てます。
収縮期とは心電図のQRS-ST部分(T波手前まで)を指します。また、虚血とは心内膜側から起こるため心内膜側の細胞が虚血細胞となりますが、心電図は正常細胞側から見た波形となっているため、傷害電流が遠ざかっていく向きに流れるためSTは低下します。また、貫璧性の場合は正常細胞が周囲の細胞であり、傷害電流は電極に近づく向きに流れるのでSTは上昇します。
※また、拡張期に焦点を当てても基線が変動する⇒ST上昇or低下という考えになるので結論は同じです。
今回の心室瘤では収縮能の消失した梗塞部を正常心筋組織が周囲から引っ張ることで形成されます。よって貫璧性の心筋傷害であり、心電図変化ではST上昇を示します。
穂積先生は分かりやすくするために非貫璧性を「ゆったりと」、貫璧性を「急激に」と簡略化してくれているのだと思います。
説明下手ですいません。
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