あたらしい内科外科10 神経の4コマ目 2分20秒あたりで、「脳動静脈奇形の流入・流出血管は動きが悪いから、無信号領域つまり”flow void”となる」と穂積先生が解説されていたのですが、「病気がみえる 脳・神経」のp.122では、「flow voidとは血流の速い血管で無信号になること」と書いてあったので疑問に思いました。脳動静脈奇形でflow voidになる、ということがわかればいいのかもしれないのですが、少し気になったので回答をよろしくお願いします。
過去に同様にお問い合わせをいただいていましたので、以下にやりとりを抜粋しておきます。
私自身、flow voidという用語をあまりよく理解せずに使っていたところがあるようで、次年度からはこの言葉を使わずに講義を進めていこうと思います(国試でもこの用語の出題はありません)。
【受講生】
新しい内科・外科の「神経」の2.3~2.4の内容について質問させていただきます。
flow voidは流速が早いため帰ってくる信号をとらえきれず真っ黒に映ると習ったのですが、本ビデオ講座では「血流の停滞」と発言・テロップでの記載がされています。
どちらが正しいのでしょうか?
お手数おかけしますが、簡単で構いませんので教えていただけると嬉しいです。
【medu4スタッフ】
血流が存在する血管が放つ信号をflow voidと呼んでいます。
AVMでは血管の塊ができることから、flow voidがみえます。
もやもや病でも同様に側副血行ができることから、flow voidがみえます。
この点からは「血流が速いからflow void」といえます。
が、例えば脳梗塞初期では血栓等により閉塞した血管の手前で血管が膨らみ、正常の脳より血管断面が拡張し、flow voidが見えやすくなることもあります。
この点からは「血流の停滞でflow void」といってもよいでしょう。
【受講生】
迅速、かつご丁寧な回答ありがとうございます。
脳梗塞の初期でそのような所見になるのは知りませんでした。
「flow voidの消失」とは別物と考えてよろしいのでしょうか?
それより手前のスライスで見られるということでしょうか?
【medu4スタッフ】
血管がまさしく閉塞している部位では「flow voidの消失」ですが、周囲の代償的な血流増大によるものではflow voidの増強と理解されます。拡散強調等でも拾えない超初期に出てくる所見ですが、↓の文献でも記載があるようにあくまでretrospectiveに分かる、といった程度のもので非専門医が診断に用いるのは難しいかもしれません。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1933645
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