普通かはともかく、うつ病においても見られることはありますし、離人症症状は統合失調症、神経症、境界性パーソナリティ障害、てんかん、覚せい剤・有機薬剤中毒、疲労時などさまざまな状況でみられます。
しかし国家試験としては離人症は解離性障害と関連づけて覚えるのが無難かと思われます。
ここからは完全に蛇足になりますが、
ウェルニッケ脳症でも有名な、WernickeKは意識を自分に関する内界意識(自己精神)、外部と他人についての外界意識(外界意識)、身体に関する外界意識(身体精神)に分けました。
Haug Kは離人症についてもこれに基づいて分類し、自己精神に対応するものとして、自己の体験や能動感消失、疎隔感が生じる「内界意識離人症auto-psychische Depersonalisation」を提唱しました。
問題文の「砂を噛むような」というのはまさしくこれに該当するでしょうね。
ほか、関連して、特有な空虚感を前景とする内因うつ病のことを「疎隔うつ病」と言ったりします。患者さんは喜びも悲しみも笑うことも泣くこともなく、すべてが親しみのない無縁なものと感じられるそうです。これも離人と近接している概念かと思われます。
離人症はドイツの哲学者Jaspers Kのいう「自我意識」のうち「能動意識」の障害にあたりますが、
「感情」の障害として「アンヘドニア(快感失楽)」というものもあります。
何をしても愉しい感じがしない、なにもかもが虚しいという快感情の希薄化を指します。アンヘドニアは統合失調症やうつ病でみられるそうです。
フランスの心理学者にPierre Janetという解離研究の先駆者がいるのですが、彼は離人症の患者さんの観察から、「人間のもつ高級な心的機能である現実機能(実在機能)の減退が空虚感として自我により自覚されている」として、離人症とアンヘドニアの接点を当時から捉えていたとされています。
このことからも、うつ病ではアンヘドニアはもちろん、離人症も生じ得ると言えそうです。
非常に詳しい説明ありがとうございました!
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