解決済 100A4 18.精神科

うつ病と離人感

うつ病と思われるこの患者では離人感が見られていますが、
うつ病で離人感が見られるのは普通なのでしょうか?

回答2件

  • 普通かはともかく、うつ病においても見られることはありますし、離人症症状は統合失調症、神経症、境界性パーソナリティ障害、てんかん、覚せい剤・有機薬剤中毒、疲労時などさまざまな状況でみられます。
    しかし国家試験としては離人症は解離性障害と関連づけて覚えるのが無難かと思われます。

    ここからは完全に蛇足になりますが、
    ウェルニッケ脳症でも有名な、WernickeKは意識を自分に関する内界意識(自己精神)、外部と他人についての外界意識(外界意識)、身体に関する外界意識(身体精神)に分けました。
    Haug Kは離人症についてもこれに基づいて分類し、自己精神に対応するものとして、自己の体験や能動感消失、疎隔感が生じる「内界意識離人症auto-psychische Depersonalisation」を提唱しました。
    問題文の「砂を噛むような」というのはまさしくこれに該当するでしょうね。
    ほか、関連して、特有な空虚感を前景とする内因うつ病のことを「疎隔うつ病」と言ったりします。患者さんは喜びも悲しみも笑うことも泣くこともなく、すべてが親しみのない無縁なものと感じられるそうです。これも離人と近接している概念かと思われます。

    離人症はドイツの哲学者Jaspers Kのいう「自我意識」のうち「能動意識」の障害にあたりますが、
    「感情」の障害として「アンヘドニア(快感失楽)」というものもあります。
    何をしても愉しい感じがしない、なにもかもが虚しいという快感情の希薄化を指します。アンヘドニアは統合失調症やうつ病でみられるそうです。
    フランスの心理学者にPierre Janetという解離研究の先駆者がいるのですが、彼は離人症の患者さんの観察から、「人間のもつ高級な心的機能である現実機能(実在機能)の減退が空虚感として自我により自覚されている」として、離人症とアンヘドニアの接点を当時から捉えていたとされています。
    このことからも、うつ病ではアンヘドニアはもちろん、離人症も生じ得ると言えそうです。

  • 非常に詳しい説明ありがとうございました!

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  • 問題参照 100A4

    45歳の男性。数か月前から始まった食思不振と倦怠感とを主訴に来院した。「食べ物が砂をかむような味しかしない。食欲がでない」と言う。身長170cm。最近2か月で、67kgだった体重が63kgに減少した。先週会社の健康診断で受けた上部消化管造影は正常で、胸部エックス線撮影、血液検査および生化学検査に異常所見はなかった。健胃薬を処方したが2週たっても症状は改善しなかった。さらに患者は、最近では「朝方早く目が覚めて再び眠れないので、睡眠薬を処方して欲しい」と言う。
    診断に最も重要な質問はどれか。
    • a 「週末には眠れますか」
    • b 「家系に癌が多いですか」
    • c 「物忘れはありませんか」
    • d 「楽しく過ごす時間はありますか」
    • e 「職場でストレスはありませんか」
  • 関連トピック

    なし