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GHとIGF-1の作用

穂積先生の授業では、低栄養では血糖を上げるべく、GH上昇は起きるが、IGF-1は低下すると習いました。

GHには血糖の上昇作用があると思うのですが、GHのセカンドメッセンジャーであるIGF-1はインスリン様成長因子とも呼ばれ、血糖の低下作用がある様な気がしてしまいます。
自分で調べて見たところ、IGF-1には血糖の低下作用はなく、タンパクの同化作用があると記載されていました。(ここまでが正しいのかも自信はありません。。)

だとすると、GHの血糖上昇作用は、IGF-1を介さないGH直接によるものなのでしょうか?
どの様な機序でGHは上昇するにもかかわらず、IGF-1は低下しうるのでしょうか?

よろしくお願いいたします。

回答6件

  • GHには骨格筋や、肝、脂肪組織などの標的器官に働いて直接発現する作用と、肝でのIGF-1の産生・分泌を介して発現する間接作用があります。
    このIGF-1はIGF受容体と結合しますが、この受容体はインスリン受容体と同様にチロシンキナーゼ活性があり、自己リン酸化を引き起こすため、インスリン様という名称になっているのだと思います。
    Ghの成長促進作用はこのIGF-1を介した間接作用によるものが多いと考えられています。
    一方、GHには抗インスリン作用があり、グルコースの取り込みと代謝を抑制し、脂肪組織では脂肪分解を促進します。
    したがって、低栄養時は血糖が低いためIGF-1は低値となり、GHは脂肪分解作用のために高値という解説になるのだと思います。
    また、タンパク同化作用があるのはGHのほうではないかと思います。

    参照:コスタンゾ明解生理学p. 407

    • ご返信ありがとうございます。
      GHには直接作用と間接作用があるという点、納得いたしました。
      「したがって、低栄養時は血糖が低いためIGF-1は低値となり、GHは脂肪分解作用のために高値という解説になるのだと思います。 低栄養時は血糖が低いためIGF-1は低値となり、GHは脂肪分解作用のために高値という解説になるのだと思います。 」
      この部分が少し分からなかったのですが、結局のところGHとIGF-1は同様の作用を持つということでしょうか?血糖が低いのであれば、IGF-1を介して、血糖を上げるべきである様な気がしてしまうのですが。。。

    • GHによる筋肉増強作用の一部はIGF-1によって担われています。筋肉の合成には多くのエネルギーが必要となります。
      人類の進化の歴史を考えてみると、飽食の時代は最近になってからのことであり、人類は飢餓の危険に常にさらされて生き延びてきたということがわかります。
      飢餓(低栄養)な状況下では少しでもエネルギーを節約したいので、IGF-1による筋肉の合成は休ませておくように体は働こうとし、たとえGHが分泌されたとしても、IGF-1はあまり作られないようになっているようです。
      エネルギーが余ったのであれば、そのエネルギーは脂肪として貯蔵し、GHの脂肪代謝促進作用によって、飢餓(低栄養)時には遊離脂肪酸に分解されて、インスリン抵抗性が上昇するようになります(これが中性脂肪が高値であると糖尿病になりやすい原因にも関係しています)。
      その結果、GHによって血糖値は上昇します。

      筋肉が動くのにはブドウ糖がエネルギーとして必要となるので、狩猟・採集民族だった時代には外敵からの急な襲撃に備えて、血糖を保ち、筋肉を急に動かすことにも対応しなければなりませんでした。
      成長ホルモンによって飢餓状態でも血糖を保ち、ブドウ糖の供給が絶えないようにしていたのでは?と進化学的観点からの考えもあります。

      血糖の変化についてまとめると、
      ・GH作用
      →脂肪代謝↑
      →遊離脂肪酸↑
      →インスリン抵抗性↑
      →血糖↑

      ・IGF〈insuline-like growth factors〉-1作用
      →インスリン様作用
      →血糖↓
      のように考えられるのではないかと思います。
      なかなか一概に説明するのが難しい箇所であるように思うので、papiさんが仰るように覚えてしまうのも良いと思います。

      長文失礼しました。

  • ANや低栄養では血糖をなるべく使いたくない、また、IGF-1による成長なんてしている場合じゃないということだと思います。ゆきやまさんの書いているような細かい知識を追うのがもし辛かったら、成長ホルモン抵抗性(GH↑、IGF-1↓)と覚えておくと分かりやすいかもしれません。
    ただ、基本的にはGHとIGF-1は平行するので、例えば先端巨大症ではIGF-1↑が診断基準に入っています。

    • ご返信ありがとうございます。
      「血糖低下に伴うフィードバックでGHは上昇するが、IGF-1よる成長は避けたいので、IGF-1は低下」
      これがGH抵抗性ということでしょうか?

  • ご丁寧にありがとうございます!

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