解決済 115C60 05.感染症

敗血症診療ガイドライン〈SSCG〉2021でqSOFAスコアが非推奨となった件について

※アプリのお問い合わせ経由でいただいた質問を共有いたします。
 
2020年度 感染症のテキストのchapter1に載っている敗血症のqsofaスコアについて質問です。
2021年度に敗血症のガイドラインが改訂となり、qsofaスコアを非推奨とするとなったようです。
ですので、qsofaスコアは今後国試では出なくなると思うのですがどうでしょうか。私は117回の国試受験生です。

回答2件

  • これから似たような質問がたくさん飛んできそうなので、こちらで一本化します(同様の質問やお問い合わせはこちらのページへのリンクを提示します。新規に同一トピックについてのフォーラムが立ち上がった場合、そちらは削除し、こちらに誘導します。追加で議論したいことがあれば、このページにコメントを投稿して下さい)
     
    Surviving Sepsis Campaign Guidelines 2021〈SSCG2021〉は2021年10月に欧州集中治療医学会と米国集中治療医学会より公表されました。
     
    ①SSCG2021については以下のブログが詳しいです。
     ※medu4とは関係のないブログです。
     ※時間のない方はPart2のみ確認すれば、本件については十分かと思います。
     
    Part1
    https://blog.goo.ne.jp/matsubomb/e/03512168ee82e2e10cfbfcbce8f1cc4a
    Part2☆
    https://blog.goo.ne.jp/matsubomb/e/223d8de539b20f748a31ff3e29a8fd17
    Part3
    https://blog.goo.ne.jp/matsubomb/e/6e1bf2b30133f14e7015345cd9611982
     
     
    ②今後国試でどうなるか
     
    ガイドライン上、扱いが変更となったのであれば、むろん国試での扱いもそれに準じていく可能性が高いです。
    しかしながら、あくまで「qSOFAを単独で使用しないことを推奨する」という形のようですので、qSOFAスコアという概念が消滅した、とか「これを使うと患者を死に至らしめる極悪なスコアだ」といった話ではありません。
    直近の115C60でも出ているわけであり、しばらくはプール問題的に出題が続いても何の不思議もありません。
     
     
    ③国試対策をする医学部生として大切なこと
     
    正直、こうした変更は医学界では日常茶飯事です。「あー、変わったのね。はいはい。でもどうせまた変わるんでしょ」といった受け止め方をすればよいだけで、うろたえる必要はありません。
     
    国試は400問もの問題を2日間で解く総合戦です。ピンポイントな事象は出るかもしれないし、出ないかもしれない。ですが、その1問でたとえ失点したとしても、他の問題で十分にカバーできます。普通の勉強さえしていれば落ちることはありません。
     
    つまり、「国試で出たらどうしたらよいでしょうか」といった質問に回答するのであれば、「そのとき自分にできる全力の対応をしなさい」と答えます。なぜなら、その問題が出るかどうか、そもそもわかりませんし、また直近の制度変更があった場合、変更前で出るか後で出るかすら我々にはわからないわけです。今回の例で言えば、SSCG2021の変更点をしっかり覚えていないと対処できない問題が116回や117回国試で出る可能性は1%もないと考えます。1%未満の可能性のために労力を使うのは不毛に思うわけです。もっと言えば、その問題が合否を分けることになる可能性はほぼ0%です。でしたら、余計なことに振り回されるのではなく、もう1年分、古い過去問をやったほうが合格が確実になります。直前期にはバタバタして3年分すら十分に仕上がらずに本番に挑むことになってしまう方も多くおられる印象ですので。

  • 私も今年のSepsis Surviving Campaignが気になり、ガイドラインに参画しているレベルの大学の先生に聞いたので、それも込みでこう考えています。

    ・そもそもこれを作っているのが世界の集中治療の大物で、SIRSからのqSOFA移行の流れという簡便化(悪く言うと安直化)の揺り戻しという観点もある
    ・SIRSは感度が低い(引っ掛ける範囲が広すぎる)のと、血液を取る必要があるので侵襲が強いため何回もやれるようなものではなく、qSOFAの方が実臨床で有用
    ・勧告も単一スクリーニングに使うのは良くないというだけなのでスクリーニングとしてダメというわけではない(We recommend against using qSOFA compared with SIRS, NEWS, or MEWS as a single-screening tool for sepsis or septic shock.)

    なので、ここまで簡便なqSOFAが臨床から消えるということはまず無いのではないかと思いますから、出題もされ続けると思いました。

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  • 問題参照 115C60

    次の文を読み、以下の問いに答えよ。
    65歳の男性。食道癌手術後に入院中である。
    現病歴:食道癌のため、10日前に胸腔鏡補助下胸部食道全摘術を施行した。術後経口摂取が困難と予想されたため、7日前に右内頸静脈に中心静脈カテーテルを留置して中心静脈栄養を開始した。以後徐々に経口栄養摂取は増加していた。今朝6時のバイタルサインには異常を認めず朝食時も問題なかったが、9時に医師が病室を訪ねると意識障害が認められた。
    既往歴:50歳から高血圧症に対して内服加療中。
    生活歴:昨年まで事務職。喫煙は20本/日を35年間。飲酒は機会飲酒。
    家族歴:両親が胃癌で死亡。
    現 症:意識レベルはJCS II-10、GCS E3V4M6。身長167cm、体重48kg。体温38.5℃。脈拍114/分、整。血圧88/50mmHg。呼吸数24/分。SpO2 96%(room air)。皮膚は湿潤している。眼瞼結膜は軽度貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。口腔内と咽頭に異常を認めない。中心静脈カテーテル刺入部に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。手術創に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。背部の皮膚に異常を認めない。椎体の圧痛と叩打痛は認めず、また肋骨脊柱角の叩打痛は認めない。四肢は軽度の浮腫を認める。
    検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖(−)、ケトン体(−)、潜血(±)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球345万、Hb 10.2g/dL、Ht 31%、白血球17,300(桿状核好中球28%、分葉核好中球47%、好酸球1%、好塩基球0%、単球7%、リンパ球17%)、血小板16万、PT-INR 1.1(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン2.5g/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST 71U/L、ALT 58U/L、LD 402U/L(基準120~245)、ALP 330U/L(基準115~359)、γ-GT 48U/L(基準8~50)、CK 143U/L(基準30~140)、尿素窒素25mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、血糖122mg/dL、Na 134mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 97mEq/L、Ca 8.0mg/dL、P 4.2mg/dL。CRP 24mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.45、PaCO2 34Torr、PaO2 102Torr、HCO3- 24.2mEq/L。

    この時点でのquick SOFAスコアはどれか。

    • a 0点
    • b 1点
    • c 2点
    • d 3点
    • e 4点
  • 関連トピック

    なし