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AKIにおけるβ2-MGの動態

急性腎障害の鑑別についての質問です。
腎前性ではBUN/Cr比は高度上昇、腎性では軽度上昇(鑑別ポイントは20mEq/L)が鑑別ポイントとして挙げられていました。
これは腎前性では脱水に反応して再吸収が亢進する一方、腎性では再吸収自体が障害されている点が関わってくると思うのですが、同じく近位尿細管における再吸収能の目安として用いられるB2-ミクログロブリンで鑑別を行うことはあるのでしょうか。
なぜあえてBUNを用いるのでしょうか。
細かいところですがお教えいただけると幸いです。

回答2件

  •  尿中β 2 ミクログロブリン (β2 MG) は尿細管疾患で増加しますが、それでも 20 mg/ 日程度と、 アルブミンと比較すると少なく 、試験紙法での検出には限界があります。血液疾患で血中β2 MG は 高値となり溢流性に尿中β2 MG も高値となること、 また尿中β2 MG は尿 pH<6.0 で抗原性を失うなど、安定性が低いことに注意が必要です。α 1 ミクログロブリン (α1 MG) は安定性が高く、尿細管障害の診断においてβ2 MG と同等以上であるとされ ます 。尿細管障害ではβ2 MG やα1 MG と同様に、小分子蛋白であるレチノール結合蛋白 (RBP) も尿細管 の再吸収障害で尿中排泄が増加します。
    一方、Nアセチルグルコサミニダーゼ (NAG) は尿細管が障害されると逸脱酵素として上昇しますので、腎障害が進行すると、ネフロンの数が減少しますので、NAG はむしろ低下する特徴があります。  残念ながら Cr が2.5を超える高値となった状態では、これらのバイオマーカーにより糸球体疾患か尿細管疾患かの鑑別を行うことは困難です。

    J Clin Pathol 45 7): 561-567, 1992.
    PMID 1381383

  • 安定性の問題なんですね。ありがとうございます。

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