濾胞性リンパ腫は従来では化学療法により生存期間の改善が見られなかったため、無症状の間は経過観察が方針のひとつであったということですが、リツキシマブの登場により経過観察が選択される割合は減少しつつあるということがイヤーノートに記載があります(2019 G-71)
本問では記載がありませんが、仮にCD20などのB細胞系マーカーが陽性や免疫染色でCD20が陽性であるという所見がわかる免疫染色の画像があった場合は、多剤併用化学療法(R-CHOP)が選択肢にあれば答えとなるのでしょうか。
初発進行期(ⅢまたはⅣ期)FL に対してどのような場合に無治療経過観察とし,どのような場合に治療を開始するか
推奨グレード
なし
[解 説]
治療開始規準あるいは低腫瘍量の規準として国際的に統一されたものはない。海外の臨床試験グループで主な臨床試験に用いられてきた代表的な規準を以下に列挙する。
注)無治療経過観察は考慮されるべき方法であるが,明確な規準をもって示し得るような臨床試験のエビデンスがないため,推奨レベルをなしとした。実臨床においては,ここに挙げる規準を参照し,治療方針を決定することを推奨する。
1. BNLI(British National Lymphoma Investigation)1)(レビュー2)に引用)(カテゴリー2B)
以下のいずれも認めない場合,無治療経過観察とする。
(1)B 症状または痒疹
(2)急激な全身への病勢進行
(3)骨髄機能障害(Hb≦10 g/dL,白血球<3,000/μL,または血小板<100,000/μL)
(4)生命を脅かす臓器浸潤
(5)腎浸潤
(6)骨病変
(7)肝浸潤
2.GELF(Groupe d'Etude des Lymphomes Folliculaires)3)4)(レビュー2)に引用)(カテゴリー2B)
以下のいずれにも該当する(低腫瘍量の定義)場合,無治療経過観察とする。
(1)節性病変,節外病変にかかわらず最大長径<7 cm
(2)長径3 cm 以上の腫大リンパ節が3 つ未満
(3)全身症状(B 症状)なし
(4)下縁が臍線より下の脾腫(CT 上<16 cm)
(5)胸水または腹水がない(細胞内容にかかわらず)
(6)局所(硬膜,尿管,眼窩,胃腸などの)の圧迫症状の危険性なし
(7)白血化(リンパ腫細胞>5,000/mm3)なし
(8)骨髄機能障害(Hb<10 g/dL,好中球< 1,000/μL,血小板<100,000/μL)なし
(9)LDH, β2 ミクログロブリン正常
3. GLSG(German Low︲Grade Lymphoma Study Group)での臨床試験適格規準中の治療介入判断規準5)(カテゴリー2B)
以下のいずれかを認めるもの。
(1)B 症状あり
(2)Bulky(長径:縦隔では>7.5 cm,その他の部位>5 cm)
(3)正常造血の障害
(4)急速な病勢進行
http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/2_1.html
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