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腎性尿崩症にサイアザイド系利尿薬が有効である理由

腎性尿崩症は、腎集合管のADH反応性低下が病態ですが、先天性の受容体異常のほか、高Ca低K血症、薬剤(リチウム等)が原因となることが知られています。
一方で、サイアザイド系利尿薬の副作用に、血中↑:Ca、UA、血中↓:K、Na、Mgがあります。

なぜ、腎性尿崩症にサイアザイド系利尿薬が有効なのでしょうか。
お答えいただけましたら幸いです。

回答2件

  • まず、遠位曲尿細管のNa-Cl共輸送体を抑制することで、体内のNaが減少します。これにより糸球体濾過率が減少し、近位尿細管等、他の部位からの水の再吸収が促進されるというメカニズムらしいです(ここでは、サイアザイトの副作用の高Ca血症による尿崩症という機序はあまり考えなくてよいのだろうと私は解釈しています)。
    利尿薬のクセに尿量が減少する…なんだか不思議ですよね。

  • うしくんさんに少し付け足させていただくかたちになります。
    先日,体液異常と腎臓の病態生理という本を読んだ際に明確な答えが書いてありましたので,参考になればと思います。
    サイアザイドによる利尿により,軽度の体液量減少が引き起こされます。それにより,RAA系や交感神経が活性化され,近位尿細管でのNaと水の再吸収が亢進します(アンギオテンシンⅡとノルエピネフリンは近位尿細管でのNa再吸収とそれに伴う水の再吸収を亢進させます)。近位尿細管での水再吸収の増加により,ADHの作用部位である集合管へ到達する水分量が減少するため,尿量が減少します。1-1.5kg体重が減少すると,腎性尿崩症では,尿量が約2/3減少するそうです。
    ここで,ループ利尿薬では,同じ効果が期待できるかという疑問が生じます。
    ループ利尿薬は対向流増幅系(髄質の浸透圧を高める)を形成に関わるHenleのループ上行脚のNaK2Cl交換輸送体を阻害することで,髄質の浸透圧を下げてしまいます。そのため,Henleのループ上行脚と同じレベルに位置する髄質集合管での,ADHの反応を減弱させてしまうため,尿崩症(特にDDAVPを使用する場合の中枢性尿崩症)では,サイアザイドに比べその効果は弱くなります。
    またGFRについてですが,GFR減少による尿量減少も可能性としては否定できませんが,糸球体では自己調節により腎灌流圧が変化してもGFRを一定に保つ作用がありますので,GFRの減少による尿量減少作用はないか,あるいは腎前性腎不全が生じた結果と解釈しております。
    参考になれば幸いです。

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