「あたらしい公衆衛生」17コマ目に問題359として解説されている問題ですが、16.6での説明と合わせて腑に落ちていない点があり質問させていただきます。
該当問題にて死亡診断書の「死亡の原因」のⅠ欄(ア)(イ)(ウ)(エ)の欄にそれぞれ「敗血症性ショック」「細菌性肺炎」「ステロイド糖尿病」「ネフローゼ症候群」、Ⅱ欄に「全身性エリテマトーデス」と書かれました。
一方、p.239における記入例としてⅠ欄に「敗血症性ショック」「クレブシエラ肺炎」、Ⅱ欄に「2型糖尿病」と書かれています。
DM→易感染性→細菌性肺炎→敗血症性ショックの流れに大きな違いがないように思われますが、いかがでしょうか。
厚労省の「死亡診断書 記入マニュアル」を参照したところ、「基本はI欄の最下欄の傷病がその上の欄に記載されたすべての傷病を引き起こす可能性がある時に、その最下欄の傷病を原死因とするという一般原則」があるとのことで、これに基づくと上記において「ネフローゼ(ここでは原疾患にあたる)が糖尿病や細菌性肺炎を引き起こした」という解釈になるのですが違和感があるように思います。
となると、Ⅰ欄には「敗血症性ショック」「細菌性肺炎(原疾患)」、Ⅱ欄に「全身性エリテマトーデス、ネフローゼ症候群、糖尿病」と書くことになるのでしょうか(あくまでこの問題文だけではDMがステロイドによるものか分からないのではとも思いました)。
長文になってしまいましたが、よろしくお願いいたします。
貴殿のご質問というのは、「ネフローゼ症候群からDMや肺炎につながるかはわからないから原疾患の欄に書くのはおかしい」ということでよろしいでしょうか。
おっしゃることもわからなくはないのですが、「ステロイド治療を受けていた患者が”経過中に”糖尿病と細菌性肺炎を発症し」と記載されているので、ステロイドによる糖尿病と考えるのが妥当かと思います。また、ただでさえステロイドは免疫を抑制し易感染性となるところへ、これまた易感染性となる糖尿病が加わり、余計に感染に弱くなり、重症の細菌性肺炎をきたしてしまったという流れになります。
また、ステロイドを使用する直接的なきっかけとなったのはやはりネフローゼ症候群によるところが大きいので、ネフローゼ症候群→ステロイド治療→ステロイド糖尿病→細菌性肺炎→敗血症性ショックの記載となり、II欄にSLEの記載という解説でよいのではないかと思います。
お答えになっていれば幸いです。
実際の患者さんが死ぬパターンには無限大の種類があるのに対し、死亡診断書の「死亡の原因」は5つしか書けない制約があります。
今回の問題112B19であれば、II欄には全身性エリテマトーデス〈SLE〉を入れたいので、より直接死因に近い糖尿病は繰り上がることになります。
正直、死亡診断書はその書き方に正しいも誤っているもなく、誰かがチェックして却下されたりする性質のものではありません(初期研修中は指導医が添削することがあるかもしれませんが、独り立ちしたら、みなさんが書いたそのままが受理されます)。ですので、例えば本当は望ましくない「心不全」と書いて出したところで、そのまま受理されます(お役所側で無視されるだけかと思います)。
つまりは、この死亡の原因の欄も人によっていろいろな書き方があり、国試では最も多くの臨床医が書くであろうパターンが正解となってきますし、微妙すぎる問題は出ません。たとえば今回の問題112B19を「II欄に記載すべきなのはどれか。」にしたら荒れると思います(不適切問題や採点除外問題となるレベルです)。
まとめますと、今回の問題で、SLEを無視し、II欄を糖尿病とし、(イ)細菌性肺炎、(ア)敗血症性ショック、としても大丈夫です。が、こう書くと、第三者からみて「SLEを背景にステロイドを使っていたから糖尿病になってしまった」という経過はわかりませんね。糖尿病性ネフローゼではないため、II欄を糖尿病とした以上、ネフローゼやループス腎炎といった記載はできないことになります。
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ネフローゼ症候群を併発した全身性エリテマトーデス〈SLE〉のため副腎皮質ステロイドによる治療を受けていた患者が、経過中に糖尿病と細菌性肺炎とを発症し、敗血症性ショックとなり死亡した。死亡診断書の様式の一部を別に示す。
死亡診断書の作成にあたり、「死亡の原因」の「(ア)直接死因」に記載すべきなのはどれか。