初めて投稿させていただきます。106G26の正解選択肢c「緩和ケアは死を早めることも遅らせることもしない」という記述について疑問があり、ご意見を頂戴できればと思います。
緩和ケアについては、ターミナル期のQOL等を改善させるエビデンスは多く出ていますが、2010年にNEJMにて「末期非小細胞性肺がん患者において、早期から緩和ケアを受けた群の患者は通常のケアを受けた群と比べて、生存期間の中央値が統計学的に有意に長かった(11.6カ月vs8.9カ月,P=0.02)」とする論文(※1)が出ており、非小細胞性肺がんに限られますが早期からの緩和ケアが生存期間を延長させる旨の研究も存在します。
当該論文の掲載から106回国家試験まで1年半しかありませんので、この論文の内容が反映されていない可能性も考えられますが、少なくとも現在では「緩和ケアが死を遅らせることはない」とは言えないのではないか、と考えております。
上記を踏まえ、もしこれからの国家試験で「緩和ケアは死を早めることも遅らせることもしない(=予後に影響しない)」旨の内容が選択肢に存在した場合、どう判断するのが適当かご意見を頂ければ幸いです。
長文にて申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
(※1)Temel JS et al. Early palliative care for patients with metastatic non-small-cell lung cancer. N Engl J Med. 2010 Aug 19;363(8):733-42
ここでは「早く死なせてあげたいから緩和ケアする」とか「なるべく長く生きてほしいから緩和ケアする」とかそういう話じゃないよね、と出題者は言いたいのだと思います。
穂澄先生、お忙しい中コメント頂きありがとうございます。
ご指摘の通り、当該選択肢が緩和ケアが予後の延長を目的とした治療的介入ではないことを問うている意図であることは理解はしておりましたが、大学の実習で緩和ケアが予後を延ばすエビデンスもあると教わったことが強く印象に残っており、どうしても疑問符を消しきることができませんでした。
さすがにこの論文も広く知られた今では同じような選択肢の表現がなされる可能性はないと思いたいですが、万が一再びこうした選択肢が出現した場合は、題意を汲んでマイノリティにならないように回答したいと思います。
この度はお返事頂きましてありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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