CO中毒で問題の前提条件(PaO2正常)をみたすのはどういった状況なのかよくわからないので質問させてください。
CO中毒では経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉と動脈血酸素飽和度〈SaO2〉とが乖離を示します。
https://medu4.com/103B32
CO中毒でSaO2が下がるということは、酸素解離曲線でPaO2とSaO2は単調に増減していることを考えると、PaO2も下がりそうな気がするんですがどうなんでしょうか。
自分の理解に不備があるはずなので、この考え方のどこがおかしいかご指摘くだされば幸いです。
まずそれぞれの指標ですが、
・SaO2=酸化ヘモグロビン /(酸化ヘモグロビン+還元ヘモグロビン)
⇒CO中毒では還元ヘモグロビン(酸素と結合してないヘモグロビン)が増えるためこの値は下がりますね。
・PaO2=血中に溶けてる酸素の総量(肺できちんと酸素をゲットできてるかの指標)
⇒COが入ってこようがこまいが、肺が機能して酸素をゲットできてるならPaO2は不変ですね。
・SpO2=経皮的に(percutaneousに)測った指標
⇒(ちょい嘘入れてめちゃくちゃ乱暴に言うと)吸光度で見てるだけなので酸化ヘモグロビンとCOヘモグロビンの区別がついてない(CO中毒では皮膚は赤くなるので機械が色みて区別つかん)
です。
102G17では、PaO2正常=酸素を肺がきちんと取り込んでる。しかし、組織に血が行かない
⇒
・CO中毒で酸素がヘモグロビンと結合せず組織に酸素を届けられない
・循環不全でヘモグロビンと結合した酸素を末梢組織にお届けできない
の2つのケース という問題です。
次に103B32についてですが、
酸素解離曲線においてPaO2とSaO2は一対一の対応(一方を決めればおのずと他方が決まる)があるわけではありません。この曲線はあくまで生理的状態において、PaO2(つまり肺で取り込んだ酸素がこれくらいの量の時)、SaO2(つまりトータルの酸素のうちヘモグロビンと結合している割合)はこれくらいだ という対応関係です。
CO中毒では酸素を取り込んでもその子たちはヘモグロビンと結合できるわけじゃないので、この対応関係は破綻しますよね。
やーせ・。・さん
ご回答くださりありがとうございます。
>酸素解離曲線においてPaO2とSaO2は一対一の対応(一方を決めればおのずと他方が決まる)があるわけではありません。この曲線はあくまで生理的状態において、PaO2(つまり肺で取り込んだ酸素がこれくらいの量の時)、SaO2(つまりトータルの酸素のうちヘモグロビンと結合している割合)はこれくらいだ という対応関係です。
そうなんですね。右方移動とかあるし、正常から逸脱しても大まかにはPaO2とSaO2は正の相関があるのだと思ってました。
酸素解離曲線(PaO2とSaO2の関係)の認識が甘かったんですが、よく考えると酸素含量の式でもSaO2とPaO2は別会計になってますね
動脈血酸素含量(CaO2:ml/dl)=1.34×ヘモグロビン(Hb)量(g/dl)×SaO2 +0.0031×酸素分圧(PaO2)
http://www.jsmmn.jp/dic/refere.html cf. 106G69
>・PaO2=血中に溶けてる酸素の総量(肺できちんと酸素をゲットできてるかの指標)
PaO2はAaDO2の式にも含まれてるので肺胞(PAO2)から間質を越えて入ってきた酸素の分圧(∝量)、ヘモグロビン関係なく(炭酸水に二酸化炭素が溶けてるみたいに)血液に溶けてる酸素の量を反映した値みたいな認識でいいでしょうか?
言葉の定義・解釈がなかなか難しいですね……(問題考える上ではそこまで考えなくても感覚的に行けるんですが、すっきりしたいので……)
どっこいしょさん へ
https://www.openhp.or.jp/staffs/manual/pdf/other_01.pdf
こちらの資料のp.5の図、赤の曲線と青の曲線を比較してみるとわかりやすいと思います。
仰せの通りCO中毒においてSaO2(動脈血酸素飽和度:運搬可能なHb量に対するO2Hbの割合)は低下します。その理由は、COはO2の約200倍程度の強さでHbと結合するので、最初っからO2のHbに結合する余地が奪われてしまうためです。
でもPaO2(動脈血酸素分圧:平衡状態で溶存しているO2分圧)は無関係ではないでしょうか...
ちょっとバスに例えて説明しようと思います!!(何事)
例えば50%COHbの状態では、実はCOはめちゃくちゃ座りたがりなおじいちゃん軍団でして、非常に座席(Hb上の結合部位)に対する親和性が高いんですね、だからその全てが着席すると考えて、即時的に「既に存在する座席の50%は埋まってしまっている」状態に陥ります。
なので、いくらPaO2が頑張っても(バス内にどんどんO2を乗車させても)その時点で空席になっている残りの50%の座席にしかO2は座れませんから、O2Hbはすぐ頭打ちしてしまい、その割合を示すSaO2は当初の値の50%程度しか行きません。
一方で、COたちは座席を占領する迷惑な乗客ではあるものの、ただそれだけでして、別にバスへの乗車そのものを妨げたり、立っている乗客までも引き摺り下ろしたりはしないんです笑 乗車行為が妨げられること(ex. 慢性閉塞性肺疾患 COPD)や、乗客量自体が少ないこと(ex. 低酸素状態)など、呼吸状態が悪化してPaO2が下がることはあっても(p.2の表2がわかりやすいかとhttps://www.jspm.ne.jp/guidelines/respira/2011/pdf/02_02.pdf)、いかんせんCOは座席を占拠するだけであり、主として酸素摂取という呼吸状態により規定されるPaO2には関与できないのです。
(強いていうなら、高濃度のCOの吸入で呼吸困難にまで発展した例ではPaO2も低下するでしょうが、問題が「PaO2が正常で且つ組織低酸素をきたす」とは書いていないので、そこまで考慮する必要はないかと思いました。)
さて、
>CO中毒でSaO2が下がるということは、酸素解離曲線でPaO2とSaO2は単調に増減していることを考えると、PaO2も下がりそうな気がするんですがどうなんでしょうか。
→恐らくどっこいしょさんは、同一の酸素解離曲線上でのPaO2とSaO2の関係性について考えてらっしゃるのではないでしょうか。CO中毒に関してはHb上の有効な座席が減ってしまうことから、そもそも酸素解離曲線は縦に圧縮されたものとしてスタートします。もちろん単調増加するのは変わりません。これが、同じ縦軸で見た時にCO中毒においてSaO2が低値となっている理由であり、PaO2に関しては肺胞換気が極端に低下しない限り変化しないということは十分考えられると思いますよ。
以上を踏まえると、治療としては支持療法に加えて、100%酸素投与で「まだ空いている50%の座席を余すところなく使う」か、高圧酸素療法で「占領しているCOまで無理やり押し退けたんで」となるわけですが、尤も後者に関してはその効果に否定的な報告もあるようでして... こうした理論だけではうまくいかないCO中毒の難しさがあるのかもしれません。
(これは蛇足につき申し訳ないのですが、CO中毒では微妙に酸素解離曲線が左方移動しています。NEWエッセンシャル法医学には「Hb間の相互作用」とか書いてたような....うる覚えで恐縮ですが... 絶対量も少ない上にせっかく結合できたO2すらも手放さなくなるため、組織低酸素がどんどん進行します。)
定義等々に関してはやーせ・。・さんが詳しく説明してくださっているので、そちらをご参照ください☺️
いったちさん
ご回答下さりありがとうございます。
長文でうなりながら読んだんですが、要するに①例の酸素解離曲線は生理的な状態でないと成立しない②HbとPaO2には直接的な関係性はない(PaO2は呼吸不全の指標)ということがポイントですね
普段、SpO2 90%切ったら呼吸不全だ! とわかるのはあくまでCO中毒がない(①の前提が成立する)場合で……
どっこいしょ さん
自分のコメントでご気分を害されていらっしゃったら本当にごめんなさい... 以後簡潔な返信を心がけます。
並びに、こちらが申し上げたかった内容を端的にまとめてくださりありがとうございましたm(_ _)m
これは感覚的な話になりますが、
バスの座席が既にご年配の方で埋まっていればいるほど、バス内は座れなかった乗客で溢れ返ると思うんですよね... だからCO中毒においては、COのせいでHbに結合できなかった(→SaO2が低値)けれど、動脈血に溶存はしているO2が増えてしまい、酸素分圧を示すPaO2は低値を取りにくいのではないかと思いました...
お力になれず申し訳ありませんでした...
いったちさん
いえ、ちょうどCO中毒のときの酸素解離曲線はどうなんだろ? と気になっていたので提示いただいてありがたかったです。
うなってたのは自分の読解力の問題です。今後ともよろしくお願い申し上げます。
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