解決済 - 09.肝胆膵

劇症肝炎

肝性脳症は分枝鎖アミノ酸製剤投与が治療となっているのに、劇症肝炎は禁忌なのは何故ですか?

回答1件

  • 劇症肝炎では血漿アミノ酸濃度が高値であるため、アミノ酸製剤は原則として投与しません。

    肝性脳症 → 毒性物質がBBBを通過して脳に症状をきたす病態。原因の1つとして、Fisher比の低下(芳香族アミノ酸の増加)が偽神経伝達物質の増加がある。つまり、Fisher比の低下は「原因」。したがって、当然Fisher比の補正を狙って分岐鎖アミノ酸製剤を投与するべきであろう。

    劇症肝炎 → Fisher比の低下は起きるものの、これは原因ではなく「結果」である。前述・後述の理由もあり、アミノ酸製剤は投与しない。「結果」は、新たな他の病態の「原因」となってから補正すれば十分という考え(← あまり自信はないですが、こう覚えれば少々納得はできるかもしれません。)

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/kanzo1960/36/7/36_7_401/_pdf/-char/ja
    9:405頁
    劇症肝炎では当然のことながら尿素の産生能が低下する.この状況でureacycleの尿素産生のcapacity以上にアミノ酸負荷がかかれば,アンモニアが血中に放出されることになる.そして,このアンモニアは体内の他のN処理機構であるαケトグルタル酸→グルタミン酸→グルタミンの系か,ピルビン酸→アラニンの系で処理されるが,この系は共にN処理能は高くないため,体外から過大にN負荷を行えば当然血中にアンモニアが蓄積することになる.更に問題なことは,一旦グルタミンやアラニンが生成されても,グルタミナーゼやトランスアミナーゼの作用によりdeaminationを受けて,再びアンモニアが放出されることである.

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