118F56

70歳の男性。交通外傷のため救急車で搬入された。歩行中に乗用車にはね飛ばされたため救急車で搬送された。搬入時、呼びかけに応答しないが痛み刺激に対し腕をはらいのける。体温36.0℃。心拍数120/分、整。血圧130/70mmHg。呼吸数40/分。SpO2 90%(リザーバーマスク10L/分 酸素投与下)。体格は肥満型。心電図モニターと連続測定血圧計を装着した。動脈血ガス分析(リザーバーマスク10L/分 酸素投与下):pH 7.15、PaCO2 50Torr、PaO2 60Torr、HCO3- 20mEq/L、BE −8.0mEq/L、Hb 9.0g/dL、Ht 30%。SpO2 80%(リザーバーマスク10L/分 酸素投与下)に低下したので、用手換気を試みるが胸が上がらない。経口エアウェイを挿入し下顎挙上を行うが、胸が上がらない。気管挿管を試みるが、声門が直視できず挿管困難であった。頸動脈は触知可能であった。
直ちに行うのはどれか。
ECMO
胸骨圧迫
緊急ペーシング
輪状甲状靭帯切開
大動脈内バルーンパンピング〈IABP〉

解答: d

118F56の解説

【ポイント】
交通外傷のため救急車で搬入された高齢男性。リザーバーマスク10L/分の酸素投与下においてもSpO2が80%と低値であるため、酸素の投与方法を変更する必要がある。用手換気、経口エアウェイ、気管挿管、すべて奏功しておらず、超緊急時の気道確保方法を実践する運びとなる。

【選択肢考察】
a ECMOは導入に時間がかかるため、直ちに行うことができない。
b 「頸動脈は触知可能」とのことで、胸骨圧迫は必要ない。
c 徐脈がみられているわけではないため、緊急ペーシングは必要ない。
d 正しい。輪状甲状靭帯切開は超緊急時の気道確保方法である。
e 心原性ショックがみられているわけではないため、IABPは必要ない。

正答率:99%

テーマ:気管挿管困難な患者に直ちに行う処置

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