118B49

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
78歳の女性。食欲不振のため救急車で搬入された。
現病歴:約1週間前から食事摂取が減少し一日中ベッドに横になっていることが多くなった。昨日から食事摂取が困難となったため、夫が救急車を要請した。
既往歴:約25年前に高血圧症、約2年前にAlzheimer型認知症および骨粗鬆症と診断された。3か月前に左大腿骨転子下骨折に対して手術が行われた。アンジオテンシン受容体拮抗薬〈ARB〉、カルシウム拮抗薬、活性型ビタミンD製剤およびコリンエステラーゼ阻害薬を服用している。
生活歴:夫と2人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父が脳梗塞、母が脳出血。
現 症:意識レベルはJCS II-10。身長151cm、体重46kg。体温36.4℃。心拍数100/分、整。血圧108/78mmHg。呼吸数16/分。SpO2 95%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に異常を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球320万、Hb 10.1g/dL、Ht 30%、白血球7,200、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白7.1g/dL、アルブミン3.6g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 23U/L、ALT 12U/L、LD 184U/L(基準値124~222)、尿素窒素41mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、血糖110mg/dL、Na 146mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 103mEq/L、Ca 13.6mg/dL。CRP 0.2mg/dL。頭部単純CTで異常を認めなかった。
この患者に認められる可能性が高い所見はどれか。
多尿
テタニー
Barré徴候
Trousseau徴候
固定姿勢保持困難〈asterixis〉

解答: a

118B49の解説

【ポイント】
高齢女性の食欲不振。「ARB、カルシウム拮抗薬、活性型ビタミンD製剤およびコリンエステラーゼ阻害薬を服用している」とのことで、高齢者とクスリの副作用についての問題と判断する。アルブミン3.6g/dL、Ca 13.6mg/dLより補正Ca濃度は14.0mg/dL。クレアチニン1.0mg/dL(eGFRは約40であり、GFR区分はG3b)と腎機能低下もあることから活性型ビタミンD製剤の副作用として、高Ca血症となり、その症状がみられているものと考えられる。

【選択肢考察】
a 正しい。高Ca血症は腎性尿崩症の原因となる。
b テタニーは低Ca血症(ないし低Mg血症)にてみられる。
c Barré徴候は錐体路障害などでみられる。
d Trousseau徴候は低Ca血症(ないし低Mg血症)にてみられる。
e 固定姿勢保持困難〈asterixis〉は肝性脳症などでみられる。

正答率:88%

テーマ:高カルシウム血症の症候

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし